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永山展「裸のダルシン」 |
09月27日 (水) |
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日本橋に、永山展を訪ねた。ラボっ子と行きたかったなあ、と思いながら、雨の中を出かけていった。ハガキを家に忘れてきてしまったので、ラボセンターに聞いて、すこしぐるぐるして、やっとたどり着いてみると、そこにはくだんの永山さんがいらした。おじゃまするのを憚っていたのだが(本当です!)お話しすることになり、ラボっ子が取り組んでいる様子や、ラボでの子どもたちや中高生の成長していく現場の様子を聞かれて話しているうちにとても話が弾んでしまい、思いがけず、ダルシンの絵についてもいろいろなお話も聞かせていただくことが出来た。
プロローグの絵。コンラ王の船団が出帆していく絵だ。ラボの本では平面なのだが、原画では浮き上がっている。どうやって浮き上がっているのかと、思わず壁に頭をくっつけて見る。ふーんなるほど。なんか低いレベルで感心している私だ。ラボの印刷が暗くて、逆に平面さを補っているように見える。カメラマンの腕か?原画は、立体的なので、どこから見るか、光の当たり具合によっても違って見えるのだ。それを平面の印刷にするのは、むずかしかっただろうなあ。永山さんは「カメラマン泣かせなんですって」と優雅に笑っておられた。
たくさん出てくるうずまき。運命、生命、人生、自然、そういった現象の象徴だ。力強く、神秘的で、継続、循環・・・まさにうずまき。螺旋状の(スパイラル)構造がふさわしいのだそうだ。ダルシンが成長していく様子は、のびやかなうずまきだ。主人ダルシンに加勢した鹿の角は、黒い渦巻きとなって自然の力強さをもつ。アニグが密室で悪巧みをしていて扉の向こうから声がもれているところは悪の象徴として渦巻きが描かれている。そうか。善にも悪にも、両極に強くないと、力というのは、そうなりうるんだなあ。ラボっ子たちが「蚊取り線香がいっぱい」といっていた渦巻きの絵は、いきなり襲われる様子を渦巻きの持つ立体感で表したのだそうだ。そうか、初めから切り取った渦巻きではなくて、急に起きあがってくる渦巻きだったんだ。
丸い石が、運命を表している。決闘のシーン。
ケルトイずもうの絵は、後の決闘とはちがい「競技」的な印象を与えるために明るい色になっているそうだ。
緑と黒の絵。ダルシンが人間の暮らしから切り離され裸になって生活するその自然と不安を緑と黒で表したのだそうだ。
ドウルソイのトークン。金の首輪だ。存在感があるなあ。
ドウルソイの杖。例のウエールズの木のスプーンの柄の彫刻部分を粘土で型押ししたものがつけられている。
ラボっ子たちが気になって仕方なかった「粘土」 確かに粘土なのだそうだ。永山さんはいつも紙粘土を持っていくのだそうだ。訪れた場所の触感の記録をとるために。石畳、城壁、木の実・・・ああ、ラボっ子に、いいおみやげ話しができた!このアイデア、いいな。そうか。紙粘土を持ち歩いて・・・かあ。やってみよっと。ラボランドの記憶、発表会の記憶。ごろごろできるね。
ウエールズの森の絵。ラボっ子たちと、本物の葉っぱでやらなかった意味を考えていたので、聞いてみたら、あえて、本物を使わなかったそうだ。合宿でラボっ子が本物の葉っぱのコラージュをやってみたが、だいたいいつも、とてもつまらないものができあがる。でも、プロがやるとどうなのかな、とも思っていたので。永山さんによると、もちろん、本物を使うこともあるそうだが、今回は、本物のはっぱを使ってしまうと、そこに想像力が固定されてしまい、広がらなくなるという。一つ一つを丁寧に切り抜いていく作業の中で生まれるものを大切にしたかったそうだ。そしてリアリティをもっと出したくてポプリに使われているのもをアレンジしたりしたそうだ。ラボのテーマ活動でも、小道具や衣装にこだわるとそれに使われてしまうところがある。それに少し似ているかな?と強引に話を引き寄せながら聞いていた。今やっている「そらいろのたね」も本物らしい空色のタネがあったら、そこで想像はストップだ。私のとりだす「嘘に決まっている」ボール紙のたねのほうが、想像をさまだげない。そういわれてみると、ドウルソイの金の首輪も手で描いたものだ。金で作ったりすると、それの時代考証が気になってしまうよね。
そして、エピローグの絵。私としては、これがいちばん気に入ってしまった。プロローグの絵に対して、同じ景色で、闘いに向かう青い船団が消え、太陽の黄金の輝きが海面に満ちている。すごくすてき!Peace, Peace, Peaceが響き渡ってくるようではないか。
それから、「景気」ということばの意味を教えてもらった。景気、というと経済的なことばだが、そうではなくて、景色から発する気のことなのだそうだ。永山さんのスケッチや紙粘土の型押しは、その「景気」をつかみたいからなんだって。いいこと聞いた!
私の方は、今現在苦労している「我が子の問題」やラボっ子たちの問題に捕らわれていて、何か聞かれてもあまりいいことが言えなかったのが後から悔やんでいる。しかし、それも見通してか、永山さんは「ラボって、生徒たちともっと精神的なつながりが強いんですね。他の英語教室とちがって」といわれた。見に行きたいとも・・・
紙漉をなさるとも伺った。あきる野の軍道和紙の家は今再建中なので、リニューアルオープンの際にはぜひご招待しようと思いながら帰ってきた。
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Re:永山展「裸のダルシン」(09月27日)
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Samiさん (2006年09月28日 11時45分)
私も行って見たい、と思っているので、
参考になりました。時間がなかなかとれないのですが、
何とかがんばっていこうかなあ~
ありがとうございました。
市民会館の活動もすごいですね。
なかなかこのパワーがこのごろは・・
すばらしいですね!
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