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『明日香学』4~飛鳥の庭園と石造物~ |
10月20日 (火) |
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今日の講師は卜部行弘氏
庭園とは・・・「祭祀・儀式・饗宴・逍遥・接遇(目上の人が目下に会う)などの場として、あるいは鑑賞の対象として、一定の空間的・時間的実意識のもとに造形される屋外空間」(小野健吉『日本庭園事典』2004)
飛鳥にあるのは遺跡ばかりで、現在、飛鳥時代の庭園はそのままの形で残っていない。
現在見られる一番古いものでは、平安時代末のものしか残っていない→円城寺(柳生)・浄瑠璃寺。
日本の庭園は池を中心とした、苑池がメインであり、発掘で池が出てきたら、庭園ということがわかる。
江戸時代より前の人は庭・園・林泉というのが一般的であった。
明治時代に庭園という名前が出来た。
中国では園林(えんりん)と言う。
庭(open space)と、園(囲まれた土地)
日本庭園事典2004によると、→造形には色々なパターンがある。→飛鳥の石造物が重要な位置を占めている。
庭園であろうという遺跡は、飛鳥時代のものから出土する。
古墳時代・弥生時代にはない。
↓
庭園的なもの→祭祀・儀式などに使ったものらしいものはある。
庭園は天皇が住んでいる所(宮殿)にセットとなっている。
藤原京・平城京跡にも確認される。(平城京跡には復元されている)
天皇の権威を象徴する場→現代の春秋の園遊会に名残がある(先日若田さんと、宮沢さんが参加されていましたね)
意味
苑・・・禽獣を飼うところ
園・・・供御(くご・・天皇の食卓)にのぼる蔬菜を栽培
庭・・・神事・狩猟・農作業をするオープンスペイス
明日香時代の池・宮殿は直線的なデザインであるが、池の中に狂句線的なデザインが芽生えている。→中島(円形)
又、池の跡から木簡が沢山出土する→多くは荷札であった。→薬・米・酒関連のものが多く出てくる。
苑池の植生は栴檀、菱、オニバス(きれいな水でしか育たない)の種、梨の実、柿の花粉が発掘されていることから、水がきれい→きれいな植物がある→見て楽しむ・・・現在と同じような植栽がされていたと思われる。
② 石造物
石造=「石材で建築あるいは製造してあること」
人間と石との関係・・・人間が使用したもっとも古い道具
身近にある石造物・・・燈籠、手水鉢、狛犬、道標、石碑、石橋、石墓標、石仏、石塔etc)
石造物のある庭園
・飛鳥京跡苑池・・・南池、北池が水路で繋がれている。
流水施設の石が残っている→それと組になっていた水路状の石造物が、京都にある00證券の迎賓閣の庭石として現存する。(一般公開無し) 2mを超えるまるでフロ桶のような石槽もある(水を抜く為の穴があり、橿原考古学研究所で水を入れたときの写真あり)
・石神遺跡・・・石人像(老人の男女で、手に水を入れるものを持っていたらしい)、須弥山石(噴水構造になっている)。池は方形である。
・平田キタガワ遺跡・・・猿石→特徴は二面性、異国的、生殖崇拝→中国、朝鮮半島から伝わった→西アジア、中央アジアの面影がある。
石造物のない庭園
・島庄遺跡・・・池の形が方形で飛鳥時代独特。
・飛鳥京跡内郭正殿・・・京都御所御池庭と同じ
非庭園の石造物
・酒船石遺跡・・・亀型石槽→祭事に使われたとされている、酒船石
・その他・・・カメ石、マラ石、ミクロ石、立石。
③飛鳥の庭園と石造物の起源
1、中国 ・前漢長安城(牛郎石刻)→牽牛、織女の石像が発見された
・北魏洛陽城
・唐長安城、大明宮
2、朝鮮半島 ・新羅雁鴨池(石槽)・・・亀型石槽とそっくりです
・新羅龍江洞苑池(景石)
・百済益山弥勒寺(猿石?)
④飛鳥の庭園の行方
1、飛鳥に残った庭園 ・島庄遺跡 ・飛鳥京苑池
2、藤原宮の庭園 ・飛鳥の庭園を利用 ・北方に存在?
3、奈良時代の庭園 ・松林苑、西池宮、東院→曲水の宴をしていたのではと思われる、やり溝がある)
・景石以外の石造物は消滅
⑤飛鳥の庭園と石造物の特色
1、政治装置としての庭園
・中国大陸、朝鮮半島の影響
・都の設計思想を反映
2、日本庭園の源流
・石造物+池泉の基本パターンを啓章
・日本庭園の源流は飛鳥にあり→現在直接飛鳥時代のものは目にする事は出来ないが・・・。
おまけ・・・
飛鳥京苑池にあった、石造物が京都の00証券のお庭にあるのは、大正時代に、沢山のお金持ちが庭作りをするにあたって、日本全国の庭師たちが、これぞと思う石を各地から持ち寄った為だそうです。以前、名張に住むラボママが、立派な石を00財閥が京都の邸宅にもって行った・・と言うことを話してくれたのを思い出しました。古代の遺跡の一部であったものが、各地でどこかの立派な庭園の庭石となっているようです。
今回は、映像付きでの講義でしたので、文章に出来ないことも沢山あります。悪しからず・・・。
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