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シャルル・ペローについて |
12月21日 (火) |
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昨日の「ファンタジーへのいざない」の講演会に触発され、私の昔の記憶が蘇ってきたので、こちらに書かせて頂きます。
興味のある方、どうぞお付き合い下さいませ。
私は大学の授業で、フランスの有名なシャルル・ぺローを研究されている巌谷先生
のクラス「フランス文学概論」を選択しておりました。
シャルル・ペローとはTutorの皆さんならば、ご存じかと思いますが、
一般の方なら、あまり耳慣れない名前かもしれません。
ペローは、17世紀末にフランスの口承昔話を集めて文章化した人です。
また、「がちょうおばさんのお話」という作品集が人気をはくしました。
(それを英訳した「Mother Goose's Tales」というタイトルから、所謂「マザーグ
ース」という通称が定着する経緯となった・・・などと言う話は鷲津名都江さんの
人間講座を見て頂くとして。。。)
いわゆる”グリム童話”と言われる、ドイツのグリム兄弟のメルヘン集も、
ペローの百年以上後に作られたものですので、グリム兄弟もペローの影響を少なか
らず受けている、といわれます。
グリム童話の方が膨大で、ペローの昔話集の十倍をも超える量ですが、
中には同系列の作品が多く含まれています。
ペローの「眠れる森の美女」と、グリム兄弟の「いばら姫」
ペローの「サンドリヨンまたは小さなガラスの靴」と、グリム兄弟の「アッシェン
プッテル(灰かぶり)」等です。
読み比べてみれば解る、語り手の違い。両者大変興味深く素晴らしいものです。
時代や国、環境の差によるのは当然であり、
巌谷先生いわく、ペローの方が君主制下の宮廷人らしく、少し気楽にエスプリを効
かせて”再話”を心掛けていたとのことです。
19世紀初めに学者であったグリム兄弟の方が、まじめに昔話を採集した感じと言われています。
とは言うものの、ペローは、男女の”心理のかけひき”に身をやつした少し頽廃した
世紀末
という時代背景の中で、貴婦人(女流作家)たちが書く作品の中に、
「昔話」を持って割って入った!という、まさに先駆者であり、
どんな時代にも通用する普遍性を備えて来たからこそ、こんにちまで広く伝わってきているのだと言われています。
そこで、少し話しを戻して、ペローの昔話は大変面白いのです。
グリム童話「いばら姫」では、百年の眠りから覚めたお姫さまが王子様と幸せに暮
らしました。。。
で終わるのに対して、ペローの「眠れる森の美女」の方には、後日談がしっかり付
いていて、子供を二人産んで、王子様の母君が人食い鬼の本性を現したり・・・と
びっくり展開なのです。
おまけに、きちんと物語の最後に、教訓(モラリテ)がくっついているのです。
散文物語の最後に、韻文の教訓。エスプリが効いているでしょ~
「赤ずきんちゃん」なんて・・・ここでは敢えて書きませんが、今の時代にもぴっ
たりの、教訓がぷんぷん匂ってきます。きゃー怖いお話!と背筋が寒くなります。
長くなりましたが、そんなペローの作品集を読んだり、講義を受けたりして育った
私は、
子供の頃読んだ物語と、大学時代に読んだ物語がごっちゃまぜになってしまい、
ラボライブラリーと向かい合う時には、常に、あれ最後はどうなるんだっけ?と悩
んでしまう程です。
おまけに、レポートの為に「大人のための残酷童話」や「大人もぞっとするグリム
童話」
な~んて言う本も読んでいるものですから、一番定着している普通のグリム童話が
どんな感じだったかが解らないのです。
ですから、ラボのお話が、原作(あるいは昔話)に忠実なために、
先輩Tutorから「あなたの知っているお話と随分違って、ラボのお話は怖いでしょ
う?」と心配されても、
「こんなお話だったような・・・」という変な感想を抱いてしまうのでした。
まぁ、ラボ関係者の方々や巌谷先生もおっしゃる通り、
ペローとグリム兄弟とどちらが忠実に描いているか?等と追求する事は、
(本物はどっち?白黒つけて!という日本人のくせですよね。)
今更というか、ナンセンスとも言えるので、どちらが良い悪いではありません。
ただ、あくまでもラボは、ラボとして、オリジナルの手を加える事をしない!とい
う態度を追求している所が素敵ですし、ディ○○ーのように、子供が喜ぶような
キャラクターを作り上げる事もせず、イラストも最小限に抑えているところに
私は惚れました。という事が言いたかったのです。
色々な経験が積み重なって、今私がラボに導かれているのだなぁ~としみじみ思っ
てしまいました。
本の好きな方、物語が好きな方、ペローの昔話集もぜひ読んでみて下さいね!
訳者は大勢いらっしゃいますが、これもご縁という事で・・・
ぜひ巌谷先生の訳書を。
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