おすすめ絵本「からすたろう」 |
10月15日 (木) |
|
「からすたろう」 文、絵 やしまたろう
「からすたろう」の本の表紙を見て、子どもの絵本として手に取りたくなる人は少ないかもしれません。
でもこの少年のまっすぐな目には人を引きつけるものがあります。
ページをめくると大正時代か昭和初期の農村の景色が描かれていて、日本の原風景のような懐かしさを覚えます。
主人公の少年「ちび」は周囲になじめず勉強もできなくて、友達からも先生からもばかにされていました。
それでも毎日休まず学校に通ってくるちび。
6年生になって初めてちびを理解してくれる先生に出会います。
先生はちびが野山の植物や生き物にくわしいことを知り、学芸会でちびに「烏の鳴き声」を発表させます。
その発表を聞くうち、人々は6年もの間、どんなにちびにつらくあたっていたかを知るのでした。
ラボっ子(小2~高校生)にこの絵本を読みました。みんなしんとして聞きいって絵本を見ていました。
読み終わった時、中1の女の子がぽつりと「究極の『ぼっち』だね。」と言いました。この本が伝わったと思いました。
絵本の裏表紙に “Crow Boy” と英語が書いてあります。
実はこの本は1955年にアメリカで発表された英語の絵本で、1978年に日本語翻訳版が出版されました。
作者の八島太郎さんは国内よりむしろ国外で名の通った人で、児童絵本 “The Seashore Story” で1967年コルデコット賞次席をあたえられています。
八島太郎さんの絵が素晴らしいです。
力強い線で、どのページも絵がお話の内容を豊かに物語っています。
ラボっ子達が絵本にくぎづけになって見入っていたのも、絵の力が大きいと思います。
私も「ちびのかいた白黒の絵」や「ちびしかよめないような習字」がとても好きです。
まだご存知ない方は、ぜひ手に取ってごらんになってください。
|
|
|