シェイクスピア全戯曲 読了しました |
05月25日 (金) |
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北関東信越支部の中長期ライブラリー研究のテーマはシェイクスピア。
ライブラリー化を想定して、推薦作品を研究するのですが、有名どころ以外知らないというのはいかにもまずかろう、ということで、マイナーどころから全作品読破を目指してよむぞ~と日記に書いたのが、2月のこと。
昨日、最後の作品を読み終わり、ようやっと全37作品、読破しました!!
なかなか、充実した時間でした。
重厚なストーリ展開と複雑な複線、このままで現代演劇として充分通用する作品。これが、400年以上前の作品だなんて、にわかに信じられません。
ライブラリー化を考えると、色々考えさせられることも多かったです。例えば……
・シェイクスピア独特の持ってまわった修飾表現の数々をどう扱うのか。
・セリフのそこかしこに散りばめられている、卑猥な表現や性の隠語をどう扱うか。特に喜劇は、セリフの大半が性的な意味を裏側に持っている。(そういう意味では、ラボ版『ロミオとジュリエット』は、すごいと思う。なんせ、乳母のセリフなんて元はと言えば、こんな表現のオンパレードなところを、うまく抑制していると思う)。
・韻律や語感の言い間違えや取り違え表現などの遊びをどう扱うのか。(すごい誤解を生みそうな言い方ですが、親父ギャグ的な連想発言を、さらに親父ギャグ的に受けて会話が進んでいくといった言葉遊び)。
・楽屋落ちをどう扱うのか。例えば、女性のキャラクターに向かって、「気をつけろ、あいつは見かけは女だが、内には男が潜んでいるからな」などといった発言(シェイクスピア時代の演劇は、女性の役も男性が演じたので、この一言は意味が二重になる)や、俳優Aが「私はあの男(B)を2度殺すのですね」などといった発言(これは、Bの肉体と魂の2つを殺す、などといった意味を持つと同時に、仮にこの劇の前に公演された芝居でその俳優AがBを殺すシーンがあった場合、この俳優Bを殺すのは2回目だ、という意味が裏側にこめられる)など。
ま、いろいろ思いましたが、シェイクスピアについて濃密な時間をすごすことができました。
幸せな時間でしたよ、それはそれは。
あまりに面白いので、新作とか出てほしいな~なんて思う始末(でるわけない!)。
全部読んで思うことは、やはり著名な作品以外にも名作はたくさんあるな~ということ。
私個人的に好きなのは、昔から好きなのは『ハムレット』や『マクベス』といった著名な作品ですが、それ以外にもいろいろ好きな作品に出会いました。
例えば……(有名作品含みます)、
『ヘンリー六世』:これは3部構成ですが、それぞれが独立した芝居になっており、王の周辺で王冠を狙うものたちの陰謀うずまく権謀術策のどろどろがたまらなく重厚! ジャンヌ・ダルクも出てきます。
『ヘンリー四世』:これは2部作ですが、王位継承問題やホット・スパーらの反乱という内戦のシリアスなシーンと、超有名なキャラクターであるサー・フォルスタッフたちが引き起こすどたばたコメディとが交互に現れ、笑いとシリアスが同居する名作。
『十二夜』:これも面白いですね。女を男と思って恋したり、なんていうのも、先に記した楽屋落ちというか、お約束といったところでしょうか。
『ウィンザーの陽気な女房たち』:ヘンリー四世で出てくるトリックスター、サー・フォルスタッフが町の奥様にいいよってうまいことお金をまき上げようとたくらんでいるのを、逆にコテンパンに返り討ちにされてしまう。このコメディは爽快!!
『アントニーとクレオパトラ』:『ジュリアス・シーザー』以後の政治劇ですね。クレオパトラと恋に落ちたアントニーは、その愛憎の中で判断を誤り、ローマの三巨頭として君臨していた地位から失脚し、シーザーの息子オクテイヴィアス・シーザー(後の初代皇帝アウグストゥス。ライブラリーのシーザーにもちょっと出てきますね)に敗れる壮大な歴史劇。
『コレオレイナス』:これは2月の日記にも書きましたが、ノーブルオブリージュをもつ貴族・正義と傲慢と数を頼むときに卑怯な平民の正義・傲慢の交錯がみごと。そして、貴族コレオレイナスは翻弄される。みんなで追放に賛成したはずなのに、怒ったコレオレイナスが敵と手を組んでローマに攻め寄ってくると「あの時は追放に賛成したが、心からの賛成ではなかった」とか「かわいそうだとも思っていたんだ」なんてセリフは、たまらないものがあります。
『ペリクリーズ』:これも2月に書きましたが、正統派なお伽話的冒険譚。なにせ、度重なる不幸と、それを乗り越える大冒険、そして大団円! これこそロマンス劇! といった感じ。
『テンペスト』:これも晩年のロマンス劇。悲劇から始まって、大団円に終わる。このテーマは「赦し」だと思う。非情な追放を受け領地を失った身であり、復讐のために魔術にも通じるようになったにもかかわらず、さんざん懲らしめた後に反省を促し、赦す。大人のお話ですかね。「O brave new world」
とりあえず、興味持てそうな作品から、読んでみてはいかがでしょう?
どの作品も、シェイクスピアはそうそう裏切りません!
近いうちに少しずつ、シェイクスピアの作品をこのHPの「ページ」の部分(左のところ)で、紹介していきたいと思います。
しばし、お待ちくだされ。
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Re:シェイクスピア全戯曲 読了しました(05月25日)
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かつどんさん (2012年05月27日 08時56分)
さ、さ、さすが、ばんばんさん…、
みなおしちゃいました!
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Re:シェイクスピア全戯曲 読了しました(05月25日)
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ばんばんさん (2012年05月29日 17時47分)
かつどん様
がんばりました!
まあ、舞台台本なので、声に出しても1作品2~3時間で読めるはず、とい
う
からくりもあります。
是非挑戦してみては?
濃密な時間になりますよ~。シェイクスピアは、さすがにどの作品も面
白い!
ただ、シェイクスピアばかり読んでいると、頭の中がシェイクスピア色
に染まっていくので、時々別の本を挟むのをおすすめします。
頭の中、ねっとりしてくるので。
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Re:シェイクスピア全戯曲 読了しました(05月25日)
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たくやさん (2012年06月15日 20時14分)
元北海道の僕です。坂さん、ご無沙汰してます。
2年前ですねー。僕はロンドンのGlobe Theatreでウィンザーの陽気な女
房たちを観ました。内容は知らないまま観たのですが、そして恥ずかし
ながら英語もたいして聞き取れませんでしたが、なんとなく理解できる
し笑えるというね。不思議ですが、でも楽しかったです。
時間があれば、というか時間をつくって、他のを読んでみようかと思い
ます。
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Re:Re:シェイクスピア全戯曲 読了しました(05月25日)
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ばんばんさん (2012年06月15日 21時49分)
お、たくや、ひさしぶり!
や~、ネットってつながるもんだねえ。
今年はニセコキャンプのコーディネーターではないのだよ、残念なが
ら・・・。
しかし、ロンドンのグローブ座で、「ウィンザーの陽気な女房たち」と
は、なかなかしゃれたことしてきたんだねえ。
文化的な香りがするではないか。
シェイクスピアは、読むといいよ。ものすごいから。
個人的には、「ハムレット」を強烈に推薦しておきます。
そして、「ハムレット」読んだら、ぜひ、トム・ストッパードの「ロー
ゼンクランツとギルデンスターンは死んだ」も読んでほしい。
映画にもなっています。
この不条理劇は、たまらんものがあるよ!
さてさて、そっちはどうなん?
もう、沖縄生活スタートしているのかしら?
いつの時も、自分で納得できる人生を歩みたいものだね、お互い
に!!!
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