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猪熊葉子先生の講演会でした★ |
02月15日 (水) |
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午前中新宿ラボセンターにて、猪熊葉子先生の特別講演会が開催されました。
たいへん著名な児童文学者でイギリスのファンタジーがご専門。
なぜ特別かと言うと、
近年講演会を断っていらっしゃるようですが、
長年務めていただいた財団法人ラボ国際交流センターの理事を退任されるにあたって、
ぜひにとお願いして実現したのだそうです。
まさに2度とないチャンスでした。
児童文学を、ファンタジーをお話ししていただいて印象的だったのは、
文学が現代社会と分離していない、先生の視点です。
ハリー・ポッターの貢献、
メリー・ポピンズと家政婦のミタの類似点、
アニメ・アリエッティ、
ファンタジーから日本の政治や教育へつながるお話。
そして、最後に強調されたのは「ことばの力」でした。
ラボの総合教育で、ラボ・テューターとして子どもたちの教育に関わる者として、
テーマ活動という物語教育の根本と、現代社会の大人のスタンスを強く深く考えます。
凛とした猪熊先生の姿勢に感動して心熱くなりました。
以下は参考までに、私のメモからのダイジェストです。
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猪熊葉子先生 特別講演会のメモ
2012/02/15
■ 児童文学
・児童文学というジャンルの研究は学術的な地位が低くなかなか認められないが、
やっと大手を振って研究できるようになった。
・日本では、大人が子どもの文学を知らなさ過ぎる。
・全世界でハリー・ポッターのブームが起こり、
これまで子どもの物など読まなかった大人まで読み始めた。
イギリスでは、これで火がついてたくさんの児童書の古典を読むようになった。
子どものクラシックと言われているものが、大人社会に認知され始めた。
「アリスなしではありえない」とも。
・現代の大人は社会の中で抑圧されていて、やり切れない辛さがある。
近代は個人を作ったが、そう簡単に個人の欲求を実現できないからだ。
子どもの本は、特にファンタジーは大人を解放してくれる。
生活に希望が持てない大人が、かつての子どもに回帰しようとする。
子ども時代にあまり読まなかった大人まで読んでいることに重大な意味があり、大人に対する贈り物だ。
・日本には読み返したい作品が少ない。
イギリスには、翻訳物がほとんどない。
児童文学のほとんどはイギリスのものだから。"We have plenty of all."
■ ファンタジー
・ファンタジーは心の柔軟性を持たせる。
・トールキン曰く、「妖精物語は非現実の第二の世界である」。
・時間や空間を超越するのがファンタジー。
人間は、根本的な状況から飛び出して他のところへ行くという根源的な欲求を持っている。
・言葉であることが大事。絵にすると限定される。
*言葉のもつ力を認識せよ。言葉というものがどんなに大事か。詩がよい。
・想像力はイメージを作り、空想力は不思議なもの、奇妙なものを作りだす。
・閉ざされた世界という絶対条件があり、この世には存在しない。
逸脱すると、現実性が忍び寄ってつじつまを合わせなくてはならなくなる。
・一番大事なのは、ハッピーエンディング。めでたく終わらせて幸せを味わう。
そのためには、閉ざされていなくてはならない。
・ファンタジーに、時々に変動して止まない社会が与えた影響は大きく、
子どものためになんか書いていない。
どうすれば子ども時代に帰れるのか考えて、みな書いている。
・いまファンタジーの世界は暗くなっている。
日本の大人は何が幸せかを考えてこなかった。
ファンタジーにはそのお手本があり、さまざまな喜びを与えてくれる。
・日本は、もっと教育にしっかり力を注がなくてはならない。
ラボは子どもに真のグローバルな視点を養うことができる。
・車や電車に乗らないでできる、空想の世界を旅してごらん。
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