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『キンダークラブ通信 No.9 / 2015年2月発行』 掲載リポート
前田祥子 〔ラボ・テューター 神奈川県横浜市保土ヶ谷区〕
子どもたちは英語のお話を
心いっぱい、からだいっぱい 楽しんでいます。
◆ クラスのはじまりは、Hello!
岩崎幼稚園にラボ・イングリッシュ・キンダークラブができたのは一昨年秋のことです。
毎週水曜日、いつものようにキンダークラブの子どもたちが、「Hello!」とお帰りの荷物をかかえてそれぞれの教室から集まってきます。
私の姿を見つけるやいなや「ショコラせんせー。Hello!」と笑顔で駆け寄ってハグしてくれる子たちもいます。
◆ 絵本の読み聞かせで育つ力
まずは読み聞かせタイムです。
ことばの基本は想像力。絵本によって育まれる想像力や集中力は、充実したクラスには欠かせません。
よい絵本を選んでできるだけ読むようにしています。
子どもたちはだんだんとお話好きになり、ほんとうに目を輝かせて聞いてくれます。
◆ 英語特有のリズムは歌と手あそびで
次にごあいさつの歌です。
“Hello, hello!・・・” “Hi, how are you? It’s nice to see you today.・・・”
いまでは全員、大きな声で元気よく歌っています。
このとき、年長さんが両手に小さい子の手をつないでみんなで輪をつくるのがお約束。
ラボのグループ活動は縦割りでの育ち合いが特長です。
年長さんは率先して動いてくれるようになりました。
歌は英語圏で歌い継がれているナーサリーラーム〔マザーグースとも〕や季節感のある歌など、たくさんうたっています。
日本語でもポピュラーな曲は、英語と日本語の両方でうたっているので、お得意のレパートリーになると喜んでいます。
“Twinkle, Twinkle, Litter Star~きらきら星”
“Under the Spreading Chestnut Tree~大きな栗の木の下で”
“In a cottage, in a Wood~山小屋一軒ありました”
などが子どもたちの大のお気に入りです。
英語のアクセントやイントネーションは日本語とは異なり、理詰めではなかなかむずかしいものですが、
音楽に合わせて身ぶり手ぶり全身で歌っていると、英語のリズムが無理なく覚えられます。
ですから、歌は振り付きで楽しんでいます。
◆ 英語絵本の劇ごっこで生きた英語を
ラボの一番特徴的なメソッドが、ことばとからだで物語を表現する「テーマ活動」〔劇表現〕です。
昨夏は、ジョン・バーニンガム作の英語絵本“Mr Gumpy’s Outing ガンピーさんのふなあそび”を取りあげました。
英語・日本語のバイリンガルCDをかけながら、劇ごっこです。
このお話には、子どもたち・うさぎ・ねこ・いぬ・ぶた・ひつじ・にわとり・こうし・やぎ、とたくさんの登場人物がいて、
それぞれ自分の好きな役になりました。
お話の通りに、劇ごっこは続き、
“May we come with you? 一緒につれてって”、
“Can I come along, Mr Gumpy? わたしも一緒にいっていい、ガンピーさん?”
などと言って、次つぎに舟に見立てたシートに乗り込んできます。
舟の上でじっとしていられない子どもたちや動物たちがあばれ始めて舟がひっくり返り、
泳いで岸にあがり、野原を歩いていって、みんな一緒にうれしいティーターム。
おしまいは、
“Goodbye. さようなら” “Come for a ride another day. またいつか乗りにおいでよ。”
とガンピーさんがやさしく声をかけて、みんな家路に着きます。
毎回本当に楽しそうで、何回も何回もやり、子どもたちが大好きな劇ごっこのなかで、自然体で英語を楽しんで声に出し、
そのうち、Children/rabbit/cat/dog/ pig/sheep/chiken/calf/goat も覚えてしまいましたし、
せりふもCDと一緒にいうようになっていきました。
また、昨秋は北欧民話“THE THREE BILLY GOATS GRUFF 三びきのやぎのがらがらどん”を取りあげました。
うれしいことに、クラスが始まるとすぐに、「早く『がらがらどん』しよう!」と催促してくれるのです。
すっかりお気に入りになって、待ちきれない様子でした。
ラボのお話は言葉も絵も英語絵本の原作通りです。
マーシャ・ブラウンの美しい絵本をながめながら、
「トロルは橋の下で何してたのかな。」
「あ、三びきが話してる!」
「がらがらどんが橋をわたるとき、橋はどんな音がしてたかな。」
「がらがらどんはこわくなかったのかなあ?」
と、いろいろ話しあいましたよ。
CDをたくさん聴いて、何度もくりかえし劇表現しました。
英語・日本語も、情景が浮かび上がるようなCDの見事な語りを真似しながら、気分はすっかり『がらがらどん』の世界。
いつの間にかがらがらどんやトロルに成りきって、
生き生きとした力のある英語・日本語が声に出てくるようになりました。
さて、仕上げの発表会では、ドキドキして緊張しながらもよくがんばりましたよ。
以下、お母さまたちの感想です。
・「みんなしっかり声も出て役になりきっていて、すごくじょうずでした。」
・「とにかく本人は達成感でいっぱいだったのでよかったです。とても良い経験になったと思います。」
・「母の想像よりもはるかに覚えていた。
人前に立つのは得意なほうではないけれど、堂々としていて立派だった。がんばりました。」
ラボの英語教育は、英会話でも学校英語の先取りでもありません。
インスタントに覚えた言葉は使わなければ忘れてしまうし、先取りもそのときだけのものです。
けれども、物語を思いっきり楽しんで心が動いたことばは、しっかり身体のなかにしみこんでいくのです。
◆ 絵本・物語の世界で心豊かな子育てを
ラボのCD・絵本は、英語教室用の教材という発想ではなく、
子どもたちに本物の物語を届けたい、というコンセプトの質の高いラボ・ライブラリーであり、
どれもみなすばらしいものばかりです。
教育現場にいる私たち指導者が本音でお勧めできる自慢の宝物です。
絵本・物語が心から楽しめるってよいですね。
テレビ、ゲーム、パソコン、タブレットなど、刺激的なハイテク機器のあふれている世の中ですが
、豊かな感情と想像力を育めるのはやはり絵本・物語です。
ことばは心の表現です。
幼い時期にしっかり心のベースを育てておきたいものです。
絵本を通して英語日本語ともに厳選された美しい言葉をたくさん聴いて自分のものにして、
しかも心豊かな子に育つことができる。
こんな教材のラボって一石二鳥ですね。
◆ ことばは人と人をつなぐもの
毎週のクラスは、慣れた場所である幼稚園の教室を会場としているため、
園生活の延長でリラックスしたなかで活動ができます。
園のクラスが違っていても、キンダークラブのメンバーどうしには仲間意識が生まれていて、
ほのぼのとしたよい関係だなあと思います。
ラボ・パーティには、
コミュニケーション力を培い磨くチャンスとして、毎週のクラスを超えて仲間が集うさまざまなイベントがあります。
乳幼児から大学生まで超縦長年代で一緒に活動するなかで、
一歩踏み出す勇気やだれとでもよい関係を築く力などを身につけていきます。
このような交流活動がラボ・パーティのもうひとつの特長ですので、
キンダークラブの子どもたちにもできるだけご案内しています。
キンダークラブを修了したあとは、引き続きラボ・パーティに入会していただけます。
ラボ・パーティで、さらに物語体験を重ね、たくさんの異年齢のラボっ子たちと交流し、
ことばと心を豊かに成長させて、世界に羽ばたく未来を描いていってほしいと願っています。。 |
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