英語は何歳から始めればいいの? |
05月26日 (木) |
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常々、「ラボに初めて参加された方にもっとわかりやすく説明できたらな~」「質問されたことについて、端的に語りたいな~」って思っています。が、私はいつもいつも、つい熱く語りすぎてタイムオーバーになってしまいます。
(この日記は以前、言語習得のページで書いたものですが加筆して再アップします。)
昨日参加したJICAの「国際理解教育講座」でご一緒した方が、「どのようにしたら外国語により親しむことができるか」という内容で講演会を開催する!というんで、内容はモチロンだし、どんなお話を展開されるのかも興味深かったし、ラボでやってることが一般ではどんな風に説明されているのかなっと思い、急遽参加してきました。その中で私が「おお!なるほど!」と思ったことがありましたので!
よくある質問から~
Q:英語は何歳ころから学ばせたらよいですか?
⇒A:文章をテキストで学ぶなら(「学校英語」)は、小学校5年生から、もしくは5年生同等程度の学力を有し、日本語の文法体系が身についていることが望ましい。しかし[英語を聞かせる]ことについては、どんなに早くても早すぎることはありません。「聞こえる」と「聞き取る」には大きな差があり、[聞き取れない言語は、話すことができない]からです。
(各民族言語のパスバンドの表から)英語は2000ヘルツ以上12000ヘルツの言語であり、これに対しスペイン語・フランス語、日本語はそれ以下の音域に属しています。(ちなみに日本語は125ヘルツから1500ヘルツで完結する言語です。)この数字からわかるように、英語と日本語では使用する音域が全く異なります。
音の聞き取りは、脳内の細胞単位で認識されます。生後2年ほどで頻繁に耳にする言語の周波数帯に反応する細胞を残して他はすべて消滅してしまいますので、外国語習得を目指すのなら、少なくとも2才前からその音声を聞くことができる環境を整えていく必要があります。それ以降、特にオトナになってから外国語を聞き取れるようにするには、人工的にその言語の周波数帯に対応できる細胞のネットワーク(ニューロン)を生成することが必要になります。そのためには、長時間の聞き取りの繰り返しという膨大な努力によって「その言語」を処理できる細胞を作るしか方法はありません。神経細胞は大人になっても増えていくので、何歳になっても学び続けることができますが、大人になればなるほど細胞の生成に時間がかかるため、モチベーションの持続も大きなテーマになってきます。こどもが高いモチベーションなくしても、あっという間に覚えてしまうのはこういう理由からです。
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この周波数帯の話を聞いて思い出したのが、ラボ高校留学から帰ってきたH君とMちゃんのことば。
「どうして、英語を話せるようになったの?」という保護者からの質問に、「いつか知らないうちに、英語の音がはいってくる「道」が僕にはできていたみたい。何回も聞き返さなくてもスーッと入ってくる感じ。だから、聞くことと発音することは無理しなくても自然にできた。僕は、その「道」のおかげで他のラボ以外の留学生に比べてかなり早いスピードで音をキャッチすることができていたと思う」
「小さい時から訳わからず(*ラボでは、センテンスを分解して、単語の意味を一つ一つ教えることはしていないので・・・)聴いていたテープ(CD)の音が、自分の意識では忘れているのだけれど身体の中にはしっかり残っていたみたい。同じ音、同じ発音に触れると何か懐かしいような蘇ってくるような気がした。」と言っていたこと。
(いずれも、2~3才から15年間ラボ活動を続けた子たちです)
私はこれまで、ラボのCDを聞くことは、[英語の耳]づくり[根っこづくり]といっていましたが、いまいちわかりにくかったかもしれないな~と反省しました。こんなふうに、「英語と日本語では言語の使用する周波数が全く違うので・・・」と語ってもらうと「ああ、だから全く聞き取れない音がでてくるんだ!][なるほど、早くから聞かせる必要性は、こういう理由からだったんだ]ってわかりますよね!
言語を習得するためには、まず、その音を聞き取れる細胞が必要。その細胞を常に活性化させるのにラボ・ライブラリーは大変効果的。さらに【テーマ活動】としてイメージを伴ったことばをout putしていく、その積み重ねを通じてことばが「脳に刻み込まれていく」んだな~だから何年たっても忘れないんだ~と改めて実感しました。
あらゆる言語に対応できる素晴らしい細胞をもって生まれてきたこども達です。どうかすくなくとも英語の周波数帯に反応できる細胞を消滅させることのないように!
そう、もう迷っているヒマはないのです!
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6月11日~12日に開催される「日本児童英語教育学会」(JASTEC)の第26回大会において、中京女子大学の杉浦宏昌先生が
「ラボパーティで学ぶ子どもたちの言語習得過程とその構造のモデル化に関する研究」と題した発表を行います。
杉浦先生は、昨年のJASTECで、テーマ活動を通して育つラボのこどもたちの事例発表に触れ「今まで足りないと思っていたものをここで見せられたような気がする」と発言され、以降ラボ・パーティ研究を続けてこられ、今年度の研究発表に繋がったそうです。
日本中にこどもの英語教室はたくさんあれど、このように日本の児童英語教育の先端をはしる学会で「ラボ・パーティ」の名前がきちんと出ていることが嬉しいです。あらためて、40年も前からこのような教育をしてきたラボパーティに携れることを誇りに思います。(2005・5・26)
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Re:英語は何歳から始めればいいの?(05月26日)
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ゆっきーさん (2005年05月26日 10時03分)
先日より、ふつつかな私の質問に答えてくださり大変感謝しています。
ありがとうございます!
今回の「英語は何歳から…」も大変明確でどの方にでもわかるような説
明ですばらしいです。しみじみ 簡潔・明瞭にラボのよさを一般の方に
アピールすることが「ラボの社会化」ということだと思いました。ある
一部の方のみに開かれた活動ではいけませんものね。
私のHPにリンクさせていただいてよろしいでしょうか?ご検討よろし
くお願いいたします。
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Re:Re:英語は何歳から始めればいいの?(05月26日)
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まじょまじょさん (2005年05月26日 23時18分)
ゆっきーさんへ
>先日より、ふつつかな私の質問に答えてくださり大変感謝していま
す。ありがとうございます!
⇒お役に立てたなら幸いですが・・なかなかピントぴったりの的を得た
答えにならずにいました。それはつまり、どれだけラボをしたから、こ
れだけのことができるようになった、ということをなかなか一般化でき
ないもどかしさゆえのことでした。言語習得は極めて複合的で、環境に
大きく左右されますゆえラボのことだけを抜き出しては語れない、でも
ラボを語るときに、どうしても「ここまでできるようになります」って
胸張って言いたい、ゆっきーさんのお気持ち私にもとてもよくわかりま
した。
保護者の皆様がどのようなレベルの英語力を求めてこられるのか、それ
は様々ですが、少なくとも相手を不快にさせない、きちんとrespectでき
るそういう資質を身につけたうえでの英語力だと私は認識しています。
英語も日本語も人間のことばですので、言語はその主体となる「人間の
人格」そのものだと思っています。相手に対して敬意を払え、誠実でお
もいやりのあることば(日本語も英語も!)を使える国際人に成長して欲
しいと思い日々奮闘しています。
>しみじみ 簡潔・明瞭にラボのよさを一般の方にアピールすることが
「ラボの社会化」ということだと思いました。ある一部の方のみに開か
れた活動ではいけませんものね。
⇒簡潔・明瞭・明確・・・等々は、私とは全く対極にあることばです。
ですが、やはり簡潔に明瞭にラボをアピールすることは必要ですね。
>私のHPにリンクさせていただいてよろしいでしょうか?ご検討よろ
しくお願いいたします。
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リンク了解いたしました。こちらこそどうぞよろしくお願いします。
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Re:英語は何歳から始めればいいの?(05月26日)
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ポイポイさん (2005年05月27日 12時47分)
いつもいつもまじょまじょさんは的確な言葉で
参加されたセミナーの様子にしろ、ご自分の思いにしろ
まとめられているなあと脱帽です。納得、、、、という感じです。
ありがとうございます。
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Re:Re:英語は何歳から始めればいいの?(05月26日)
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まじょまじょさん (2005年05月28日 08時41分)
ポイポイさんへ
あっこさんへ
ラボを語るってほんとうに時間がかかりますよね。
語りたいことがいっぱいで・・思いいれもいっぱい!(笑)
でも初めての人は、「これをするのは、こういう意味があるからです」
とか「この力がこのように伸びるのです」といった、データに基づいた
理論的な説明のほうがわかりやすいに決まってます。
まあ、そんな~理論どうりにはいかないのが、人間(特にことば!)な
んですがね!
それにいくら理論武装したところで内容が伴わないと説得力がありませ
ん。よって私はせっせと汗流し、大声張り上げて走り回っていま~す。
セミナーや講演会報告は、自分のまとめのために書くようにしていま
す。その時はわかったつもりでも時間がたつと忘れてしまうので・・
それに、ここひろば@でもたくさんの報告を受けることができとてもい
い研修の場ですよね。
あっこさん、日記コピー了解です。
ポイポイさん、あっこさん書き込みありがとうございました。
嬉しかったです。
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Re:英語は何歳から始めればいいの?(05月26日)
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keikoさん (2005年06月16日 22時59分)
「周波数」・・・適確な説明でよくわかりますね。
昨夜、東京でお会いできとてもうれしかったことを書こうとしていたのです
が、PCの調子が悪く、あきらめてしまいました。山梨でお会いして、また
「ベビーサイン」で東京でお会いできたこと、姉ともどもとても嬉しい思いで
す。
1歳まではLとRの違いを認識する働きをもっているのに、日本語を学習して
いく過程で1歳になるとその機能を捨ててしまうので、赤ちゃんたちには英語
を含めいろんな音にふれるようにできる環境を作ってあげるといいです
よ・・・とベビーサイン講座でも言うときがあります。「聞く」ってあらため
て大切だと思ってます。
とってもいい活動をしていらっしゃるのですね。
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Re:Re:英語は何歳から始めればいいの?(05月26日)
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まじょまじょさん (2005年06月17日 12時24分)
keikoさんへ
東京でのベビーサイン、頑張って参加して本当に良かったです。
「コミュニケーションの大切さを幼いときから学んでいくと豊かな子に
育っていく」「母乳語から離乳語、名詞から抽象的なことばへの移行が
スムーズにできないために、人間同士の関わりが上手にできない」・・
etc.本当に考えさせられました。昨年夏、甲府で開催しましたベビーサ
インの時にも、ラボ活動と通じるな~と思いましたが、またあらためて
近藤先生からノンバーバルコミュニケーションの大切さをお伺いし
、こどもが発するサインやことばや、ことばにならない気持ちをしっか
りキャッチできるセンサーをもちたいな~と思いました。Keikoさお目に
かかれてとても嬉しかったです。
パーティをやりくりしての東京3日間プログラム本当にお疲れ様でした。
もっともっと全国にベビーサインとラボが広がるといいですね。
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Re:英語は何歳から始めればいいの?(05月26日)
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Hiromi~さん (2005年07月01日 15時38分)
杉浦先生のお話の報告はききました。ラボを理解、応援してくださる先生方
がどんどん増えて嬉しい限りです。
このページを拝借させてください。ページにUPしたいと思います。
いつも参考になり感謝しています。
テューター通信も読みましたよ。山梨がんばってますね~~。嬉しいです。
同郷の方々が開いているPの場所。あそこだ、ここだと・・。
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Re:Re:英語は何歳から始めればいいの?(05月26日)
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まじょまじょさん (2005年07月02日 17時36分)
Hiromi~さんへ
>杉浦先生のお話の報告はききました。ラボを理解、応援してくださる
先生方がどんどん増えて嬉しい限りです。
⇒本当に!小学校英語教育はこれからですよね。そんななか、先進的な
研究者が、ラボの事例を学会で発表してくださるというのは嬉しい事
です。学会のHPでもすでにUPされていますか?Hiromi~さんはす
でに杉浦先生の報告を受けられたのですね。いかがでしたか?
>このページを拝借させてください。ページにUPしたいと思います。
⇒お役に立てるなら幸いです。でも、表現的に変なところがありました
ら是非教えてくださいね!
>テューター通信も読みましたよ。山梨がんばってますね~~。嬉しい
です。同郷の方々が開いているPの場所。あそこだ、ここだと・・。
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⇒山梨の全T、本当にすごいんですよ~~。フル回転の大忙しですが、み
んな若く輝いています。私も倒れていられないのですよ~~。
テューター通信お読みいただきありがとうございました。記事は2000字
(読むも一苦労!)ですが、実は8000字くらい書けちゃって、校正のほう
が大変でしたァ!それで、疲れ果てて、しばらくPCに向かえないほど、
目が痛くなってしまいました。怒涛のような4・5・6月でした!しめき
りに間に合い、無事皆様のお手元に届きホッとしています。
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Re:英語は何歳から始めればいいの?(05月26日)
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dorothyさん (2005年07月23日 06時24分)
音域の話とラボっ子の「聞こえる道」の
話、とても興味深かったです。
なぜ「英会話でなくテーマ活動か?」という
ところも含んだラボの他の英語教育団体との
違いを、改めて思い至りました。
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Re:Re:英語は何歳から始めればいいの?(05月26日)
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まじょまじょさん (2005年08月01日 23時51分)
ドロシーさんへ
>音域の話とラボっ子の「聞こえる道」の
話、とても興味深かったです。
なぜ「英会話でなくテーマ活動か?」というところも含んだラボの他の
英語教育団体との違いを、改めて思い至りました。
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長い日記を読んでくださってありがとうございました。聞き取れない音
は発音できないのだから、せっかくラボに出会ったラボっこたちは、「聞
こえる道」ができるようにもっともっとたくさんCDを聞いて欲しいな~
と願っています。
メッセージのほうにもお返事ありがとうございました。ドロシーさんの
体調のこと存知あげなくて大変失礼しました。ドロシーさんの分まで頑
張って吸収してきますね。帰ったら報告させてくださいね。
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