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0705
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✦「トロッコ」と “人を想う”美しさ 11月20日 (木)
「人を想う」名人といわれる俳優・高倉健さんが、遠い冬の星になったと報じられたその翌日、
わたしは「トロッコ」というすばらしい映画に出会いました。

芥川龍之介の「トロッコ」という名品を覚えておいででしょうか。
小学校だったか中学校だったか、国語の教科書で読んでおられる方が多いでしょうか。
文庫本にしてわずか8ページの小品ながら、
なぜか印象に鮮明に刻まれている作品。
あれを下敷きにした映画といいます。大好きな芥川作品が
今日的な感覚でどんなふうに映像化されるのか、興味しんしんでした。

ざっと原作のストーリィを振り返りますと、主人公は8歳、
小田原と熱海のあいだをつなぐ軽便鉄道の敷設工事を日ごろ目にして、
土を積んで山を下るトロッコに惹かれ、
裾を翻してその運搬作業にあたる土工たちの袢天すがたに憧れます。
ある日、許されて土工たちのあいだに挟まってトロッコを押すことに。
ミカン畑のあいだを登りつめ、つぎに線路が下りになると、
台車に飛び乗って勢いよく滑り降ります。
その快感にすっかり夢中になっていましたが、やがて
ずいぶん遠くまで来てしまった、そろそろ引き返さねば、と気づきます。
行き着いた先で泊まりになる土工たちとは別に、
もと来た道を線路づたいにひとりきりで帰らなければならない仕儀に。
急がなければ日が暮れ、真っ暗になる。あの長い長い山の道。
「命さえ助かれば」の恐怖と不安のなか、
あえぎあえぎ、必死に駆けつづける少年。
疲れきってやっと帰りつき、母のふところに抱かれた瞬間、少年は
わっと、堰を切ったように泣き出す、といったストーリィでしたね。

torokko


さて、映画のほう。川口浩史という新進気鋭の監督・脚本、
平成21年にJ&Kエンタテイメントによって製作されたもの。
舞台は台湾。
わたしは台湾には疎く、知らないのですが、歌蓮という美しい名をもち、
日本の原風景を想わせる緑ゆたかな山林や田園に包まれたところ。
日本統治時代の名残りを止める長屋住宅も見られ、
老人たちには日本語を話す人びとも少なくありません。
その地へ、母親とふたりの男の子が、父の遺骨を抱いて帰ります。
亡くなった父は台湾の人、母・夕美子(尾野真千子)は日本人。
ともに東京で新聞記者をしていました。
父祖の地に足を踏み入れるのは、この日本人親子にとっては初めて。
台湾の風土に馴染むには、ぶつかることも多く、時間がかかりますが、
しだいにそこの家族と、地域の人びとやそこの子どもたちと
親しみあうようになります。
そのこころの風景が、美しい自然のなかでデリケートに描かれていきます。
台湾にはいまでもトロッコがあちこちで見られるとか。
幼い兄弟が、ハッと遠くまで来すぎたことに気づいてトロッコを棄て、
泣きながら、それでもいたわり合い励ましあいながら帰っていく、
そこの山林地帯の美しさは、険しくもまたじつに秀逸! 
家族の絆の尊さ、「人を想う」ことの美しさを、
川井郁子さんのヴァイオリンも加えて巧みに表現している名編でした。
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