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ミネルヴァの梟は夕暮れに飛び立つ |
01月09日 (金) |
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歯の悩みには,まことつらいものがある。きょうの治療で麻酔をかけられ,すでに3時間以上経っているのにその麻酔から覚めないで,なにやら気分はふらふら…。ひとつ外で用をたしていると,もう陽は落ち,一点の雲もない凍てきった空に満月(じゃない,十六夜か立待月か)が上がっている。夕星も冴え冴えと見える。寒いので急いで帰りたいところだが,こんなときは辛抱してゆっくり歩くに限る。ふだんならバスを使うところだが,決意して歩きだす。しかし,歯の悩みを引き摺ってか,歩きながら思うことは,チト暗い。
冬蜂の死にどころなく歩きけり
えーと,村上鬼城だったかな。そのイメージがずうーっとアタマを領する。風の冷たさだけでなく,その思いから,不覚にも涙がぽろぽろ落ちる。そして,もう一句が思い浮かぶ。
死にべたとそしらば謗れ夕炬燵
ラボの関係者には親しい小林一茶のもの。俳句っていいもんだなあ,と思う。このホームページの「ことばの旅路へ」で良寛さんの戒語を紹介し,長たらしいことばはダメだよ,としるしながら,わたしの書くのはいつもだらだらと長い。自身へ向けての戒めにほかならないことを告白します。辛抱して読んでくださる方にはいつも申し訳ないと思っています,ホント。その点,俳句をやる人ってすごいなぁ,と思う。わずか17音のなかにピシャッと世界をつくりだすのだから。なんとか短くスパッと書くことを勉強しよう。この年齢になっても勉強することにはあまり文句はないだろう(いや,もっと稼いでこい,という声も)。で,ついでに思い出したのは,NHK俳壇で紹介されたものだったような気がするが(だれの投稿句か覚えはない),こんなのも。
竹の春 晩学の窓 ひろくあけ
ある程度の経験と年齢を経ないとわからないことも多いし。ご存知と思いますが,西洋のほうの皮肉なことばで「ミネルヴァの梟は夕暮れに飛び立つ」というのもありますね。梟とは知恵のシンボル。ミネルヴァとはローマ神話に登場する女神で,ギリシア神話のアテネ女神のこと。学問や知恵は日が落ちてから姿をあらわす,というほどの意味か。真昼の明るさの中では見えないことも,晩節になって日が落ち,人生の黄昏どきになってやっと見えてくるという。そう,だから,せいぜいがんばらなくっちゃ。
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Re:ミネルヴァの梟は夕暮れに飛び立つ(01月09日)
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サンサンさん (2004年01月10日 08時12分)
おはようございます。
先ほど、おじゃました物の、書き込みをせずに。。。
一仕事して、また、戻ってきた次第です。
俳句、いいですよね。
私には才能はありませんが、ほんとに短くても深い思いが込められてい
て。。。
日本語でないとできない文学かも知れませんね。
英語ではちょっと。。。
日本語って素晴らしいと思います。
私は、大切な大学時代の教育を日本で受けていないので、その辺で蓄え
るべき日本語がすっぽり抜けています。
ですから、がのさんの様にすてきな言葉でさらさらと日記を書かれる方
を尊敬します。
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