◆フィクションをどうする…? |
01月21日 (水) |
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テレビのドラマをよくご覧になりますか? わたしは,よく見るというほうではなく,NHKのものくらいなのですが,アレッ,わたしの理解が間違っていたのかな,と疑うことがよくある。つい最近の例では,新しい大河ドラマ「新撰組」(「新選組」となっていたとすれば,間違いだと思います)のペリーの黒船来航のシーン。同じ疑問を持ち,あれは間違いだと指摘する新聞の投書を見て,ああ,やっぱり…,と思った次第。
ここは,日本が開国へ向けていちばん生みの苦しみを経験するところで,関心は高く,歴史的にはかなり明らかにされている部分。佐久間象山が近藤勇や坂本竜馬をともなって黒船を見に行くなんて,信用できる歴史書ではどこにも書いてない。象山が取るものも取りあえず久里浜に駈けつけたとき,そこにいっしょにいたのは門下の一人,小林虎三郎だけだったはず。(「米百俵」で知られる小林虎三郎については,「ページ一覧」のうちの「タカの眼」で紹介させていただきます)同じ門下の吉田松陰は,長州の藩邸のほうに詰めていてそこに居合わせず,1日遅れてしまったことを地面を敲いて口惜しがったというのが定説。
大衆向けの歴史ドラマとなると,そんな史実などどうでもいいのだろうか。残された肖像を見ても近藤勇は香取慎吾ほどにはハンサムじゃないし,石坂浩二の佐久間象山のイメージもだいぶ違う。おみつさんて,あんな美人だった? あれほどサバケたおきゃんだった?(沢口靖子,いいねぇ) まあ,そのへんは若い世代に受ける必要もあるし,視聴率競争もある。そうした事情もわからないではない。だけど,間違いをそのまま鵜呑みにしておいていいのかなぁ,そんなことどうでもいいのかなぁ,とのこだわりがちょっぴり残る。とくに,NHKの三文字に対する人びとの信用は大きいですからねぇ。新撰組といえば,江戸時代の末期,日本が近代化へ大きく動いていくとき,江戸幕府の用心棒・殺し屋として尊皇攘夷派・倒幕派を弾圧した物騒な武力組織。すぐれた先進的な頭脳を抹殺して日本の開明の足を引っ張った存在。それがドラマとなると,美化され骨抜きにされる。このあとどう展開されていくのかは知らないが…。
この問題とはちょっと角度が違うのだが,ことばを物語(フィクション)のほうから追求しているラボ・パーティの活動にあっては,どうするのだろうか。事実とフィクションの関係。相手は吸収力旺盛な子どもである。疑うことなんて知りませんよ。テューターという人たち,そんなにヨイショするつもりはありませんが,稀有な知性集団である。じつによく勉強をするし,知識も広い。とりわけすぐれているのは,それぞれが個的にもっている事例を互いに学び合うという回路を大事にしていること。それでも,そんななかにあってさえ,オヤッ,と思うことがある。だいぶ以前のことになるが,ある集まりのなかで意外なことを耳にしてしまった。「ロミオとジュリエット」の原作をきちんと読んでいる人って,案外少ないということ。みなさんはどうですか。たしかにラボの「ロミオとジュリエット」の出来はすばらしい。音楽もいいですよねぇ。しかし,ご存知のとおり,これも制作に際しては物理的制限のなかで大きく削除された部分があります。パリス伯爵とのからみなどはまったくないというに等しい。あの限りでりっぱに完結しているし,子どもたちにそのことをこまごまと伝える必要があるか,というと,そう思っているわけではないが,子どもたちの成長に寄り添うおとなとしては,やはりそこまできちんと知っておいて欲しいなぁ,と思うのがわたしの願い。一人娘に対する父親の思いや家柄を守らねばならない家長としての立場,パリスにおける貴族としてのプラシドなどがもう一歩深くわかってくると,物語はもっともっとゆたかなふくらみを持ってくるはず。ま,そんなこと,わかってるわよ,…とのお叱りを受けるほうが望みであるが。
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Re:◆フィクションをどうする…?(01月21日)
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Hiromi~さん (2004年01月22日 15時12分)
NHKの新撰組。あれは確かに人気取りですね。慎吾ちゃんの近藤勇もかわいす
ぎます。人気タレントと人気脚本家で視聴率稼ごうというのみえみえですね。
今日の新聞の投書欄にも、視聴率の為に史実を曲げてもいいのかというような
事が載ってました。時代考証というものもちゃんとあるのみ三谷流新撰組です
ね。
昨年北関東の大学生が司馬遼太郎の「燃えよ剣」を題材に創作劇を発表しま
した。ハラハラしながら見守っていました。彼らのほうが真剣に思えてきま
す。発表の時のこと思い出して、HPに悪夢が甦るなんて書いて、大学生から
抗議をうけました。書き方は悪かったけど真意はこうだったのよ!と話して納
得してもらいましたが、削除しました。
今年は全くのフィクションだそうですので、余計心配です。中心になってい
るのがうちの大学生と来ているのです。まあ彼らはいわば素人ですからいいの
ですが、天下のNHKがあれではねと、そのときも大学生とはなしました。
ただ大学生の与えるインパクトも強いので怖いです。ライブラリーのなかか
ら選んで、きちんと発表して欲しいのですが、彼らは背伸びをしたいのでしょ
うとおもいます。難しい世代です。
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Re:◆フィクションをどうする…?(01月21日)
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スミティさん (2004年01月26日 15時19分)
私もこの場面見て、これって違うよねーと思いました。(一応歴史を専
攻したもので・・ ついでに長州ですし)
うーん、これを私たち大人がどう子どもに投げかけるか・・・
そこで歴史に興味を持ってくれるといいかな、
話題にすることが大事なのかな??
気づいたっきりになっていたので、もう一度考えされられて良かったで
す。
オペラ、総会から返って寝不足のあまり見損ねてしまいました。いくま
では、帰ってみようと思っていたのに。
2月にまた有るとのがのさんの日記。近くなったらまた話題にしてくださ
いね。お母様の河野テュータにはお目にかかれませんでした。
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Re:Re:◆フィクションをどうする…?(01月21日)
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がのさん (2004年01月26日 16時55分)
スミティさん
>私もこの場面見て、これって違うよねーと思いました。(一応歴史を専
攻したもので・・ ついでに長州ですし)
⇒そうかぁ,長州とあってはあのシーン,黙っていられませんね。いや,NH
Kにはあのことで苦情が殺到していて,そのため特別な対応チームがつくら
れ,返答のマニュアルもできているのですが,それがまたいい加減なものらし
く,問題になっているとか。まあ,あれはドラマだから,フィクションだから
といわれても,大NHKがあれだけ本格的につくった番組ですからねぇ。そう
でしたか,歴史の専攻でしたか。どのへんの歴史に興味をお持ちですか。
オペラ、総会から返って寝不足のあまり見損ねてしまいました。いくま
では、帰ってみようと思っていたのに。2月にまた有るとのがのさんの日記。
近くなったらまた話題にしてくださいね。お母様の河野テュータにはお目にか
かれませんでした。
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わたしはそんなにオペラを見ているほうではありませんが,まあ,われわれ
日本人のオペラに対する常識をひっくり返してくれるものでしたね。舞台装置
の途方もなさ,出演者の多さ(舞台のほうに350人,演奏のほうに100人余。
正確な数字は忘れました),スケールがぜんぜんちがいますね。歌手も世界各
国の第一線で活躍している人たちで構成されていました。第二部の戦場のシー
ンなどは圧巻でしたし,ロシア女性の民族衣装,これがなかなかきれいでし
た。なお,プロデュースにあたった小林さんは,河野テューターのお譲さんで
はなく,そこに所属していた元ラボっ子です。福山のご実家は駅に近いところ
にある呉服屋さんだったと記憶しております。そう云えば,このところ河野綾
子テューターのお噂が伝わってきませんが,お元気に活動なさっておいででし
ょうかね。2月の放送についてはいまのところ知りません。ビデオをとってあ
ります(一部欠)ので,もしよかったらお送りいたしますが…。
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Re:Re:Re:◆フィクションをどうする…?(01月21日)
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スミティさん (2004年01月29日 20時40分)
⇒そうかぁ,長州とあってはあのシーン,黙っていられませんね。い
や,
他にもありました。桂小五郎が江戸にでる前の近藤勇と出会う事実はな
いと思います。
私の専門は、東洋史、中国近代史、康有為の弟子、りょう(漢字が出ま
せん)啓超を追いました。
清朝が滅びようとするとき、国と民をどう捉えたか、国とは何か、ここ
のところで・・・
中3の息子が珍しく大河に興味を持ってみていたのですが、こういうこ
とを言って興味をそいでもと黙っていました。彼は坂本竜馬のファンで
す。
維新ツアーと称して、萩、鹿児島、高知と3年かけて行きました。
国際交流しての発見というか改めて思ったこと。日本の歴史はすごい。
シャペロンから帰って日本にはこんなにいいものがごろごろしてると再
発見です。昨年は奈良に行きました。
司馬遼太郎も大好きでほとんど読みました。アメリカに『21世紀に生
きる君たちに』英日版を持っていきました。
大河ドラマを英語にしてアメリカやヨーロッパで放送するとどういう反
応なのかなー?前から思っています。
がのさんどう思われます??
こんなこときいてくれる人もなく・・
いえる場所があって嬉しいです。
このところ河野綾
子テューターのお噂が伝わってきませんが,お元気に活動なさっておい
ででし
ょうかね。2月の放送についてはいまのところ知りません。ビデオをと
ってあ
ります(一部欠)ので,もしよかったらお送りいたしますが…。
河野テューター、でてはこられませんが続けていらっしゃいます。お目
にかかったときには伝えておきますね。
2月の放送がなかったらビデオ、お願いしてもいいですか??
今朝、歌舞伎をオペラにという話題を見ました。なにせ田舎に住んでい
て機会がないのが残念です。
宮島能舞台、萬斉さんの狂言はみました。
狂言て、テーマ活動に通じるものがたくさんあるなーと思います。
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