幼児教育・英語教室のラボ・パーティ
■■■ 運営事務局より ■■■
ひろば@LABOは,ラボ教育センターが展開する
「ラボ・パーティ」に関わる皆さんのコミュニティ・ネットワークです。
「ラボ・パーティ」については 公式サイト  をご覧ください。
ラボ公式HPTOP新着一覧趣味・ゲームランダム新規登録戻る 0493788
  
Home
Diary
Profile
BBS
Bookmarks
Schedule
メール
・メッセージを送る
・友達に教える
ページ一覧
・ 創作短編童話1
・ 青少年育成
・ アート回廊=1
 アート回廊=2
・ 勘違い語塾
・ 旅の落し文
 HAWAII
・ ものはづけ①
 ことばあそび
 読めますか
・ 萬葉植物
・ 小夜 & GANOトーク=1
 S&Gトーク=2
 S&Gトーク=3
 S&Gトーク=4
 S&Gトーク=5
 S&Gトーク=6
 S&Gトーク=7
 S&Gトーク=8
・ 古典芸能〔1〕
 伝統的技芸
 古典芸能(2)
・ 物語寸景(1)
 物語寸景2-1
 物語寸景・3
 物語寸景・4
 物語寸景2-2
 物語寸景・5
 物語寸景2-3
 物語寸景2-4
 物語寸景・6
 物語寸景2-5
 物語寸景・7
・ つれづれ塾《1》
 その《2》ラボ
 その《3》映画1
 その《4》植物
 その《5》古典1
 その《6》詩歌
 その《5》古典2
 その《3》映画2
・ 今月の花神=1
 今月の花神=2
・ 本、譲ります
・ ウの眼
 タカの眼
 イワシの眼
・ 狂歌で遊ぼ!
 川柳で遊ぼ!
 変漢ひろば
 狂歌-〔2〕
・ 小径を行けば…
・ ことばの旅路①
 その《2》
 その《3》
0705
[一覧] << 前の日記 | 次の日記 >>
✦深夜の訪問者 08月31日 (水)
あしたがあるから、もう寝なきゃあ、と椅子から立ち上がった。
部屋にこもった空気を入れ替えようと、窓のカーテンを開けた。
そのとき何かバタバタと飛び込んでくるものがあった。
ヘタな飛び方である。アブラゼミかな? 
このごろのセミ族は深夜になっても鳴いて、ひとさまの睡眠を邪魔する。
ふといやつだ、羽をむしってつまみ出してやろうか…。
天井にぶつかったあとコツンと落ちたのがパソコンのキーボードの上。
ついさっき電源を切ったばかりである。

006

おやおや、カブトムシじゃないか。しばらく見ていると、
キーボードの上を右に左にゴソゴソ、ゴソゴソ。

―― おいおい、どういうつもりかね。
(もしかして、と思い、パソコンの電源を入れなおす)
―― これ、ちょっと拝借してもいいかな。
―― わたしのほうの今夜の仕事はもう終わった。かまわないよ。でも、
そこでフンなんかしないでくれよな。
―― ふん、フンとは! 無礼なことを。甲虫族のプライドちゅうものも知らんで。
―― そりゃあ、悪かった、悪かった。
―― カノジョにメールをしとこうかと思ってな。
―― カノジョ、って?
―― あいつは見かけによらず頑固なんだ。自分がまちがっていても、けっして「ゴメンナサイ」と言わない。
―― そんな女って、いるいる。
―― 思い込みがはげしくって、一度こうと思ったら、違うよ、勘違いだよ、と
いくら言っても受け容れない。被害妄想だよ、あいつ。
一度や二度の浮気をしたからって、がたがた言うな、つ~の。
いつまでも、いつまでもそれをネにもってなぁ。
―― よくある夫婦げんかだな。
―― 一度か二度じゃねえか。浮気は五度か六度。
―― はっは。コリないやつだなあ。それじゃあ、なかなかノーサイドちゅうわけにはいくめえよ。
―― 言うにこと欠いて、あんたはトシなんだから、たいがいにしろ、とぬかしやがる。
だってそうだろう、果敢ないイノチだ、燃えるときに燃やさないでどうする。
―― なんだよ、カノジョの愚痴かよ。でも、とびきりの美人(美虫)というわけか。
―― そうさな、まあ、十人(十虫)並みってとこかな。知り合ったころは、もっとずっとシャンで、
色つやよく、気品つ~ものもあったのに、このごろじゃあ、よく飲み、よく食う、よく寝る。
見られたもんじゃない、典型的なメタボだね。口のききかたも乱暴だし。
―― トシをとったということかな。トシをとった女はだいたいそんなもんだよ。
―― いやいや、せめて子育てじょうずなら救いがあろうというもの。それがてんでダメ、
一匹もましな子を産んで育てたことがないときている。不良さ、グレてる、どいつもこいつも。
―― いいとこなし、ってとこだな。よせよせ、そんなの。
もちっとましな女なら、いくらでもいそうじゃないか。
―― あんたなんぞにそんなこといわれたくないけどな。
―― なんだよ、おまえ、さてはカミさんに追い出されてきたな。
―― ちがうよ、おれのほうからおん出てきてやった、金輪際、帰ってやるもんか、ってな。
…そう言っておん出てきてやったけど、ちょっと、なあ…。
―― わかったよ。星の王子さまも、その星に置き棄ててきたバラ、
きれいというだけでケン高くわがままな恋人のことが忘れられず、
なんだかんだ言っても最後にはそこにもどっていったもんね。
―― そんなはなし、おれは知らないけど、
どっかで脳梗塞でもおこしてぶっ倒れてるんじゃないかと、
あいつがおれのこと心配していたら可哀そうだから、
せめて無事にここにいるというだけでもメールで知らせておこうかな、と。
―― どうぞお好きなように。でもな、このごろ世間じゃ「節電」「節電」とうるさいから、
たいがいにしてくれよな。おれは寝るけど、そこの窓は開けたままにしておく。
送信を終えたら、そこから出ていってくれ。
カノジョのところへ帰るか、ぜんぜん別なところへつっこまるか、
そのことには、おれ、関与するつもりはないからね。ま、がんばれや。
―― お、ありがと。あんたもいい夢みて寝ろや。
<< 前の日記 | 次の日記 >>
Copyright(C)2002 Labo Teaching Information Center.All rights reserved.