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035
風のかよい路、〔がの〕さんの庭にて。
どうぞお気軽に。互いの率直な感性をそのままに交換いたしましょう。


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がのさんの掲示板 [全2358件] 241件~250件 表示 << 前の10件 | 次の10件 >>
Re:Re:Re:Re:Re:Re:◆NHKラジオ「名作を読み直す」、言い残したことなど〔その2〕(11月26日) [ 関連の日記 ]
がのさん (2008年12月11日 20時43分)

dorothyさん

【その1】
 >青海波のこと、ありがとうございました。昨日は、また、源氏物語
の講座でした。青海波の衣装について、細かく説明するつもりだったの
に、プロジェクタを忘れて、公民館にお借りする始末。次回の講座のヒ
ントになりました。

     ----------------------------

 満月のように欠けるところなきモテもて男、望めばそのとおりになる
驕慢な美貌の貴公子が、時の流れの果てに、完膚なきまでに凋落し、う
ちのめされるすがたに、モテない男の次元の低いやっかみとは知りつ
つ、そんなもんさね、人生無常というものよ、と意地悪く納得し、胸に
落とすわが身のさもしさ。

 ですが、遠い世界のフィクションとはわかっていながら、どうも、そ
こにはやるせないものが滓のように残り、こころに悲しみが染み出して
くる。あ~あ、老いとともに喪っていくものの数の多さよ。人生の晩秋
を迎えたわが身に重なるものがあるからか。
 そんな気分のとき、朧月夜の内侍とのところを、もう一度読んでみた
くなる。中年になった光源氏。いや、今でいうなら中年をすぎ、わたし
と同じころか。光おとろえた彼の人生最後の花火のようにして打ち上げ
られた再燃の恋。その相手は、こともあろうに、自身の政敵である右大
臣の娘、しかも自身の兄にあたる朱雀院が格別に愛している寵妃ときて
いる。
 この姫君、入内する以前から源氏と通じていたようだ。どうも、自制
力なく、情にもろいというか男好きというか、いい男と見ればすぐ靡い
てしまうタイプの女性。プレイボーイにとっては都合よろしい女。こん
な恋がうまくつづくはずもなく、背徳に沈湎して、そのうしろめたさと
罪の意識を共有するだけに終わる恋。
【つづく】
Re:Re:Re:Re:Re:◆NHKラジオ「名作を読み直す」、言い残したことなど〔その2〕(11月26日) [ 関連の日記 ]
dorothyさん (2008年12月11日 04時54分)

がのさん

青海波のこと、ありがとうございました。
内容は、私のBBSに書きました。

昨日は、また、源氏物語の講座でした。
青海波の衣装について、細かく説明するつもり
だったのに、プロジェクタを忘れて、公民館に
お借りする始末。

昨日付けの日記にその内容はUPしております。
次回の講座のヒントになりました。
ありがとうございます。
Re:Re:Re:Re:◆NHKラジオ「名作を読み直す」、言い残したことなど〔その2〕(11月26日) [ 関連の日記 ]
がのさん (2008年12月03日 23時11分)

dorothyさん

【その2】

花は、何のかけひきもなく、さっと咲いて、さっと散っていく、
その潔さがよい、と古来より言われてきました。
自分の美しさも知らぬげに、つつましく、ただ咲き、
ほろほろと散っていく、それがよい、と。
ところが、それは、菊とか紫陽花とか向日葵などの
大輪の花のこととは思えませんね。
いっとき命のかぎりカアーッと燃えて咲き、果てにしのちは、
ちょっといただけない姿、惨めなほどに汚く凋落するのが、
かの大輪の花。

まさにそこには、
光源氏が齢とともに光を失っていく姿を予兆させるもの、
満月にも似て欠けるところなかったものに、ついに生じた醜い破綻、
…でもあったのか? 一方、頭中将のかざしたモミジの
あざやかな紅色。
散る前、命果てる直前に生きとせ生きるものが見せる一瞬の輝き、
最後の輝きのシンボル、…なんてみるのは、うがちすぎでしょうかね。
あ~あ、世は無常だなあ…。悲しきことのみ多かりき。
明かりが見えないなあ…。
Re:Re:Re:Re:◆NHKラジオ「名作を読み直す」、言い残したことなど〔その2〕(11月26日) [ 関連の日記 ]
がのさん (2008年12月03日 23時09分)

dorothyさん

【その1】
うつろひ…。そうかぁ、うつろひ、ね。
いままで、わたしは、それともちがうことを考えてきたのですが、
それはまずこの際、措いておくとして、
う~ん、なるほど、“うつろひ”ですか。
「花のいろはうつりにけりな いたずらに…」。

このところ、早起きしているんです。早起きして、
歩いて7~8分ほどの公園に行き、
6時半からのラジオ体操をしています (とは言いにくく、
せいぜい週に1回か2回程度)。ここで、雨の日も風の日も、
土曜日曜もなく、みなさん、やっているんですね。
だいたい20~30人で。
この地域は市町村別にみて全国で平均寿命がもっとも高い
(男の場合)ところとなっています。
その長寿の秘密を探るうち、ひとつに、
みんなの健康意識の高さがありました。
ラジオ体操がその象徴のようなもの、ということで、
一度、取材に。
見れば、いろいろなところでよく顔を合わせる人たち。
ちょっと様子を見に、のつもりが、
ミイラとりになってしまったという次第で、
以来、わたしが行かないと、何だかんだとうるさいことに…。
しかし、このところ、朝の冷気にはきついものがありますよね。
それに、この11月30日(日)には、市の福祉大会があり、
新しい地域の支えあいのスタイルをさぐる、といったことで
大聴衆を前に講演。
そのための準備もあるし、風邪をひいてノドをやられてはたいへん、
ということもあって、1週間ほどのサボリを。
この公園にはここのシンボルのように立っている2本の
メタセコイアの巨木があります。
1週間ぶりに見たそのメタセコイアがきのうの朝
(今朝は寝坊しておサボリ)は緑の色を失って、
完全な金茶色に変わっていました。あっという間の変化。
季節の“うつろひ”を感じ、気づいてみれば、師走、
星霜の流れの速さを感じつつ、
またこの季節にして奇跡のように咲く皇帝ダリア(帝王ダリアとも
木立ダリアとも)の薄ピンクの花を愛でつつ、朝の散歩をしたばかり。
自然がつくる“うつろひ”と、わが身におこる老いへの“うつろひ”
と。

菊の花などに“うつろひ”を見る古人の繊細な感性に驚かされ、
ロマンを覚えます。

【つづく】
Re:Re:Re:◆NHKラジオ「名作を読み直す」、言い残したことなど〔その2〕(11月26日) [ 関連の日記 ]
dorothyさん (2008年12月03日 10時53分)

がのさん
>絵で見るように、光源氏は白菊を頭にかざしています。一方の頭中将
がかざしているのはまっ赤なモミジですね。白菊とモミジ、ここにはど
んな意味がこめられているのか、ご存知でしたらお教えください。

菊は、奈良時代に中国から伝来し、平安初期までは
菊は皇帝の色である黄色をもって最高とされて
いました。

が、9世紀のころから、白い菊がめでられるように
なりました。これは、枯れる直前に紫にかわる、
という、「うつろい」の美を日本人が愛したから
ではないか、と思われます。
同様に、紅葉も、緑から赤に「うつろう」という
意味で日本人の美意識にかなっています。

ですから、二人の美男子が「うつろう」美を
簪(かざし)て、舞ったのではないでしょうか。

なお、源氏の白菊は、後に紫になることを
暗示しています。紫→紫雲→稀代の名帝の出現。
第一巻で、インドの人相見・中国の人相見・日本の
人相見それぞれが、「天皇にはならないが、臣下では
収まらない」というわけのわからない暗示を示します。

あるいは、古今集の
秋をおきて時こそありけれ菊の花 うつろふからに色のまされば
(古今・秋下―279)

これを本歌取りした場面が散見できますが、
このシーンでも、取り入れられています。
この歌、紫式部がとても気に入っていた
ように感じます。
Re:Re:◆NHKラジオ「名作を読み直す」、言い残したことなど〔その2〕(11月26日) [ 関連の日記 ]
がのさん (2008年11月28日 15時39分)

dorothyさん

【その2】

 ほんと、安全で適当に甘いものだけでなく、ときにはメッセージ力の
あるこういう作品を子どもの前に置いておくのがおとなの役割なのです
がね。青木奈緒さんが放送のなかで紹介してくれていましたが、「これ
を読め」というのではなく、祖母の幸田文さんはダア~ッと全集を置い
ておいてくれ、ただそれを良し悪しなく片っぱしから読んだ、と。
 人畜無害で衛生的なものをいくらたくさん子どもに与えても、こころ
の強い子にはならないことは自明。そんな教育的視点が、いまのラボの
組織の周辺にありますかどうか。親が、指導する立場にあるもの自身
が、幼児化してしまって、難所は避け、真実のところはダサイとして目
を向けず、低い鞍部ばかりを選んで越えていこうとする。

 「あしながおじさん」も読んでもらいたい。ほんと、これなども、十
代のうちに読まないとソンだ、とさえ思いますね。

 >> ぜひ、ラボ・ライブラリーに入れてもらいたいと叫んでいるのです
が、なかなか届かないようです。または、私の視点が悪いのか。という
ことで、今回のがのさんの日記、とてもとても興味深く読みました。

 ありがとうございます。いい作品ならどれでもラボ・ライブラリーに
なる、というものでないことは、dorothy さんにもご理解いただけるか
と思います。たとえば、「クリスマス・キャロル」がライブラリーにい
いとして、dorothy さんと数時間、いや、二日でも三日でもその魅力や
問題点を、子どもたちのおこなうテーマ活動の生き生きとした表現をイ
メージしつつ制作担当者と語り合う余裕なんて、あるでしょうか。あの
長い物語を、だれが、どう抄訳するのか、その力はあるのか、など。

 ここのところは微妙で、差し障りの生ずる向きもありますので、あと
でメールを通じて率直なわたしの思いをお伝えしたいと思います。
Re:Re:◆NHKラジオ「名作を読み直す」、言い残したことなど〔その2〕(11月26日) [ 関連の日記 ]
がのさん (2008年11月28日 15時32分)

dorothyさん

【その1】
>青海波の絵、拝見しました。

     ----------------------------

 絵で見るように、光源氏は白菊を頭にかざしています。一方の頭中将
がかざしているのはまっ赤なモミジですね。白菊とモミジ、ここにはど
んな意味がこめられているのか、ご存知でしたらお教えください。


>> ところで、名作を読むことについて。なぜラボライブラリーにまだ星
の王子様やアルルの女が入らないのでしょう。私はずっと、ディケンズ
ものとあしながおじさんは入れるべきだ、と叫んでいます。ディケンズ
は、英国文化を語るとき避けて通れないもののように感じています。

 チャールズ・ディケンズ。12月になりますが、クリスマスの声が聞こ
えてくると、かならず思い出すのが「クリスマス・キャロル」。数かず
のクリスマス物語のうちで、これ以上のものはないと思われ、その季節
になるたび、ラボの子どもたちがこのテーマ活動をやっているすがたを
イメージいたします。
 dorothy さんはディケンズのどの作品がラボ・ライブラリーに欲しい
と思われますか。「オリバー・ツイスト」もいい、「二都物語」もい
い、「大いなる遺産」は? イギリスの文化を語るとき、ヴィクトリア
王朝時代は欠かせないと思いますが、この人はその時代を代表する作家
ですのでね。
 わたしたちの読書会でも「クリスマス・キャロル」を2003年1月に読
み合いました。評判のよくない守銭奴の老人スクルージがクリスマス・
イブにクリスマスの精霊たちの訪れのなかで、エゴイスティックな欲を
捨て、生き方を変えていく……。ね、このものがたり、子どもたちにプ
レゼントしたいですよね。
 「オリバー・ツイスト」も、ぜひ子どもたちに読ませたい。この作品
は、悪人どものオン・パレード。盗賊あり悪徳商人あり小ずるい小役人
あり…。孤児オリバーはそんな誘いにもきわどいところで汚染されるこ
となく、純粋なこころを貫いて、最後には幸福をつかむ。汚染されたあ
ぶない環境という意味では、いまのこの時代のほうが数段すごいか知れ
ません。無差別殺人あり、親殺し子殺しあり、オレオレ詐欺、振り込め
詐欺、還付金詐欺、性犯罪、路上犯罪…、なんでもござれ、ですので。
いまの格差社会と当時のイギリスの階級制度の問題にも通じるところが
ありますし。
【つづく】
Re:◆NHKラジオ「名作を読み直す」、言い残したことなど〔その2〕(11月26日) [ 関連の日記 ]
dorothyさん (2008年11月28日 09時29分)

青海波の絵、拝見しました。
何度もこちらに伺って、拝見しました。
そのつど、何か書こうとしては、時間に
追われて更新せずに退散、あるいは
ログインもせずにはいったので
足跡すら残していませんでした。

ところで、名作を読むことについて。

なぜラボライブラリーにまだ星の王子様や
アルルの女が入らないのでしょう。
私はずっと、ディケンズものとあしながおじさんは
入れるべきだ、と叫んでいます。

ディケンズは、英国文化を語るとき
避けて通れないもののように感じています。
また、あしながおじさんは、それ自体は
シンデレラストーリー的ですが、その年代
(実は10代あるいはもっと幼少時)に
常識として読んでおくべき作品が
上手に紹介されているのです。

たとえば、青い鳥を読んだ事がなくて
恥ずかしい思いをしたから、夜は
自室でそういった本をむさぼるように読む、
とか、大学時代にはシェークスピアの舞台を
見に行く、などなど。

また、この作品の後編にあたる
「続あしながおじさん」では、遺伝や
アルコール中毒の被害についての本を
ジュディの親友のサリーの目を通して
紹介しています。

ぜひ、ラボライブラリーに入れてもらいたいと
叫んでいるのですが、なかなか届かない
ようです。または、私の視点が悪いのか・・・。

ということで、今回のがのさんの日記、とても
とても興味深く読みました。
感想ではなく、私の意見になってしまって
ごめんなさい。
Re:Re:◆NHKラジオ「名作を読み直す」、言い残したことなど<その1>(11月08日) [ 関連の日記 ]
がのさん (2008年11月23日 20時59分)

dorothyさん

【その2】

 柏木と女三の宮の密通。若すぎる分別の足りぬ男と女の“できちゃっ
た”愛には、軽率さばかりが目立ち、印象よろしくなく、あまり考えて
みることもありませんでしたけれど、そのあとのふたりの、死を呼び込
むほどに悶え苦しむさまにふれ、ここだッ! というものがあり、紫式
部という王朝時代屈指の知性の真意とたしなみを見たように思いまし
た。
     ☆     ☆     ☆     ☆

 ラジオで言い残したことは、あんな調子で書いていたら、キリがあり
ませんね。この30日(日)には、区をあげておこなわれる大きな大会での
講演をひかえていることもあって(文学とも読書とも関係のない、地域の
福祉環境づくりをテーマとする)落ち着かず、この「ひろば@」で書くの
はやめようかとも思うのですが、やりだしてしまったこと、自分の備忘
録として、一応、言いたいところまで言っておこうとは思っています。
月に一回か二回の公開日誌、ま、ぼちぼちと…。
Re:Re:◆NHKラジオ「名作を読み直す」、言い残したことなど<その1>(11月08日) [ 関連の日記 ]
がのさん (2008年11月23日 20時56分)

dorothyさん

【その1】

>「「青海波」の絵、拝見いたしました。わが子を身ごもった愛する女
性、女性が、今、自分を見つめている、その想いで、舞う姿は、いかに
も神々しいものだったのでしょう。しかも、季節は秋。夕方の傾いた夕
日に、もみぢの照りかえりの中、まるでスポットライトを浴びたかのご
とく、情念の燃え盛る源氏の舞う青海波は、いかばかりだったでしょ
う。
     ----------------------------

土佐光芳の筆によると伝えられる「紅葉の賀」の物語絵には、「青海
波」舞う光源氏と頭中将が右下の手前に描かれています。その上には、
注意しないと見落としそうですが、たぶん間違いないと思います、御簾
のうしろに藤壺が、そしてその前に桐壺帝が描かれています。dorothy
さんが読み解いておられるように、光源氏とのあいだに不義の子をやど
した身である藤壺は、どんな思いで禁断の恋の相手の舞いを見たことで
しょうか。
その部分も日記ページの末尾に追加して入れてみましたので、ご覧にな
ってください。複雑な思いにこころ乱れて、どうも、目を伏せ、まとも
にその舞いを見ているようではありませんね。
「源氏物語」については、昨日、ちゃこさん(岐阜)のところにいたずら
書きさせてもらいましたように、このごろはとりわけ、あっちを齧った
り、こっちをつまんだりしてきたとはいえ、このせわしなく動く世の
中、いい気になってその物語世界にうつつをぬかしていること叶わず、
最後まできちんと読むというふうにはいかない事情にありました。とり
わけ、宇治十帖のあたりまで来ると息切れしてしまうのが常。現実の醜
さを忘れさせてくれる王朝の雅、日本のことばのもつ美しい味わいとリ
ズムを楽しむほか、ひとりのやんごとなき貴顕の奔放な女漁りといった
ところ、読むこちらの品性の卑しさを恥じるところまでで終わっていま
した。で、このたび、「若菜」のへんから最後の「夢の浮橋」までを重
点に読んでみました。「浮舟」がいい! 薫、匂の宮、浮舟のところま
で来てはじめて、この物語の核心である、因果応報といってしまえばつ
まらないのですが、人の世の逃れられない宿業のようなもの、本居宣長
のいう「もののあはれ」の意味がわかったように思えました。
【つづく】
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