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◆NHKラジオ「名作を読み直す」、言い残したことなど<その1> 11月08日 ()
小夜:おとうさんは、なぜ、テレビやラジオに出るたび、不機嫌になるのですか。
がの:えっ、そんなに不機嫌そうでしたか。
小夜:そうよ、傍から声をかけるのがちょっと怖いくらい。
がの:そう、それは悪かったですね。でも、ちょっとひどいとは思いませんか。いろいろ言いたいことがあったのに、何も言わずにいるうち、プツン! ですよ。乱暴です。いつもいつもそうなんだから。
小夜:仕方ないじゃないですか、テレビもラジオも秒単位でプログラムされているのですから。それに、おとうさんのために番組が組まれているんじゃないですからね。
がの:それにしたって、ほら、あのときは風邪をひいていて、鼻汁はダラダラ、ちょっと話すと声がかすれてしまう状態。まずいな、ということで朝一番にお医者にいって、「なんとかしてくださいよ」と泣きつき、これなら、といういちばんいい薬をもらって服んで、それから午後ずうっと待機してくれといわれていて、外出もできない。まず、ディレクターとさんざん話して、そのあと、アナウンサーとも。
小夜:アナウンサーのおねえさんと機嫌よく話していたそうじゃないですか。
がの:あ、あのひとはおとうさんと同郷なの。大学は名古屋のほうだったと思うけど。
小夜:それに、そのあとの青木奈緒さん。ずいぶん長話でしたよ、20分、いや、30分かな。
がの:あの人のおばあちゃん(幸田文さん)のおとうさんが幸田露伴。青木玉さんのお嬢さんにあたります。すばらしい感度というか、アタマがいいというのはああいう人のことを言うんでしょうね。知性にピカッとした輝きがあり、お話ししていて、楽しくなってきてキリがない。そうね、おとうさんの話したかったことはそのとき話してしまったから、それでもういいようなもんですね。
小夜:そうそう、小夜もあんなすてきなおとなのひとになれたらいいな。ていねいで、ものやわらかで、しかも、積み上げられた知識が豊富で、考えがはっきりしていて。なによりも、ことばのはしばしにまで、たしなみがあって…。
がの:さすがに幸田露伴の血を引く人。ええ、たしなみを自然に備えている人です。でも、考えがはっきりしている、と言いますが、おとうさんと話しているときは、なんだか、とても不安そう、自信がなさそうだったようには思いませんでしたか。本番で何を話したらいいか、わからない、困ったわ、とか。
小夜:午後4時、本番直前、おとうさんとの電話の最後に「決めました!」とおっしゃいました、「ありがとうございました」とも。おしゃべりのなかで、ピピッとこころにひらめくものがあったのでしょうか。青木さんのあとにはアンカーの柿沼さんからも、挨拶がひとこと。毎日の番組、そのひとつの番組をつくるのも、たいへんなんですね。
がの:もう、あのことは忘れました。忘れないと、いつまでも腹のムシがおさまらないですから。
小夜:おなかに悪いムシを抱えていると、精神衛生上よくないですから、言い残したことを小夜が聞いてあげるわ。
がの:もういいですよ、口惜しかったり恥ずかしかったりして、思い出したくもない。
小夜:まあ、そうおっしゃらずに。本番前の、アナウンサーのおねえさんとの話には間に合わなかったけれど、青木さんとの話、あれはとてもよかった。小学校からハーハー息をきらせて走って帰ってきたけど、その甲斐があったと、小夜はほんとに思ったわ。


――青葉ふれあい読書会《どんぐり》とは、どんなグループですか
 さまざまな世界の名作文芸を読みあうグループですが、たくさん本を読むこと、広い分野の本を読むことが目的ではありません。地域活動の一環として続けている活動で、“ふれあい読書会”としているように、すぐれた文学作品を介して地域の人と人とが出会い、それぞれの考え方や意識を交流しあう場です。広い層の人たち、幅広い世代の人たちの参加を期待して8年前にスタートしました。
 活動の軸に据えているのは、海外の名作文芸。海外に限定しているわけではありませんが、すぐれた文学作品に描き出される人間それぞれの生きざまをテーマに参加者みんなの前に据えて、それをめぐってさまざまな世代、さまざまな層の人同士で考え方、感じ方を分かち合うこと。そんなところからこころの健康な人であふれる地域にしていきたい、それがねらいです。

――参加者はどういった人たちですか
 いちばん初期のころには、中学校の授業の一環として「星の王子さま」を3クラスの中学3年生と旧世代の人とでいっしょに読み合ったことがありました。その後、中学生、高校生の参加はほとんどなく、40歳台から70歳台の中高年の方がた、それもほとんどは女性、家庭の主婦です。でも、とても意欲的な方がたで、ふだんそんなに読書をすることはないにしても、こころに健康なものをもっていて、明るく闊達で、わたしはこういう人びとに囲まれていて恵まれているなあ、といつも思っています。会員制でもなく、だれでも、いつでも参加できます。参加している人たちからは、たいへん喜ばれ感謝されています。作品を通して多様な人生にふれ、未知の世界、多様な美しい自然にもふれてこころを震わす。そうしたこころの刺激が感性にみずみずしい若やぎをもたらし、こころの健康を保つことになっている、と言ってくれています。

――名作とは、どういう作品と思いますか。このごろ、ドストエフスキーの「カラマーゾフの兄弟」や小林多喜二の「蟹工船」がよく読まれていますが、それをどう思いますか
 すぐれた文学作品には、例外なく、ウソがない、甘やかなゴマカシがない、読んだあとにはホンモノに触れたときに特有の深い感動が胸に残る…。このごろ特にそんなふうに思うようになりました。「カラマーゾフ…」も「蟹工船」も読者に鋭く訴えるものがそこにあるからだと思います。ウソやゴマカシがない例を、最近みんなで読んだ「風車小屋だより」と「貧しき人びと」から挙げてみましょう。
 前回10月16日に読んだばかりのアルフォンス・ドーデの「風車小屋だより」。この短篇集のなかに「スガンさんのやぎ」という一篇があります。おことわりしますが、これ、わたしの名前にひっかけてテーマにしたのではありませんよ。岸田衿子さんの訳による絵本があります。ご存知でしょうか。これはしかし、絵本らしくない絵本と言えるかも知れません。人によっては、これを子どもに読んで聞かせるのを躊躇うこともありそうです。ヤギが登場する絵本としては、「三びきのやぎのがらがらどん」や「おおかみと七ひきの子やぎ」など、いくつか馴染み深いものありますね。ヤギとトロル、ヤギとオオカミが戦いますが、最後は弱いはずのヤギが勝って、パンパカパ~ンと、ハッピーエンドになります。ハッピーエンドが児童文学の常道ですから。しかし「スガンさん…」のほうは、そのようにはなっていません。死力を尽くして一晩じゅう戦って、ついには力尽きて倒れ、食べられちゃいます。束縛から逃れ自由であることは尊い、冒険心を奮い自分の可能性を確かめる努力は大事。若いこころにはだれにも抑えられない欲望でもあります。一方、自然の仕組みにもそれなりの峻厳な約束ごとがあります。あぶない森へ行けば、高い崖から落ちることもあるだろうし、オオカミに襲われることも自然の掟のうちです。そうした約束ごとにしばられて生きているのが、とりもなおさず、われわれの存在であり、現実だ、とこの詩人はきびしい。童話的な甘やかしはここには微塵もない。
 おなじ「風車小屋だより」に入っている「」という短篇。文庫本にしてわずか5~6ページのものですが、これなどはまさに珠玉の“名品”と言えるのではないでしょうか。読んだだけで、これほどの幸せにめぐりあったことがあるだろうか、と思うほど、いい気持ちにさせてもらえます。雨に拭われたあとの夜空に見る星のように、透き通ってさわやかです。


 これを読んだ前の月、9月にはドストエフスキーの「貧しき人びと」を。これはロシアの大文豪が24歳のときに書いた処女作です。最下級の役人の男と、孤児で病気がちの娘。ふたりのあいだには親子ほどの年齢差があります。小心もの同士のつつましやかな、悲しいほどに秘めやかな愛。ふたりがどれほどこころを通わせ合っても、どうにもなりはしない。双方それぞれ涙ぐましい努力をしつつ互いを思いやります。しかし、足掻けば足掻くほど、その足はすべって泥沼の深みにはまりこんでいきます。
 このへんは、このごろ顕著に現われてきた格差社会のひずみのなかで苦しむワーキングプアと呼ばれる人びとのすがたをそのまま照射してはいないでしょうか。19世紀の半ばに書かれた作品ですが、今の時代をみごとに映し出しているとも言えますね。オンリピックから帰ってきたメダリスト、あるいは宇宙から帰還した宇宙飛行士など、いわゆる勝ち組の成功者が、子どもの前に立って必ず口にするのが、「夢を持て」「夢は、持ちつづければいつか必ず叶うもの」と言います。しかし、現実はどうか。“ひきこもり”や“不登校”の人の悩みがそういうことばで解消した例は聞きません。そんなのはソラゴトさ、と嘲うかのように、夢を持てば持つほどに事態は悪いほうへ悪いほうへと歯車の回転を早めていくケースのほうがずっとずうっと多い。わたし自身のこれまでを振り返っても、その思いのほうが強いですね。挫折、挫折の繰り返しのなかを、あえぎあえぎ生きてきたようなものですから。夢とは、なかなか叶うものではないから「夢」なんだ、と身にしみて思わされてきました。
 作品中の貧しい男と女の「不幸」と「不幸」を掛け合わせたところで、奇数と奇数を掛けても偶数にはならないように、それがクルッと「幸福」に裏返るようなことはなく、どんどん不幸の淵へ導かれていく。ロシアの文豪はついにふたりに幸福な結末をさずけることはありませんでした。
 貧しいのは努力が足りないからか。たくさんたくさん涙を流せば幸せになれるのか。運命はかならずしもそんなに公平ではないことを知らされます。
 九等官の小役人のマカールと、貧しくとも清らかな少女ワーレンカ。わたしたちは、その男女の貧しさと、わたしたち自身が今感じている貧しさとを比較して話し合いました。贅沢や虚飾を捨て、ある程度の辛抱をし、節約につとめれば、どうにか凌げていくわたしたちの日々の貧しさに比し、不幸な運命に弄ばれるこのふたりの場合は、すぐ死に直結する貧しさです。何がほんとうの貧しさか、何が本当の不幸か。それを容赦なく問いかけてくる作品がこれ。こういう訴求力をもってわたしたちの胸板をぶち抜く作品を名作というのではないでしょうか。

小夜:はい、おとうさん、長くなりましたよ。ここでプツン! 読む本はどんな尺度で選んでいるのか、海外の作品にこだわる理由は何か、声に出して読むこと、など、まだまだありますが、このつぎにしましょう。少しは腹のムシがおさまりましたか?
つづく
Re:◆NHKラジオ「名作を読み直す」、言い残したことなど<その1>(11月08日)
けいこさんさん (2008年11月09日 23時38分)

ああ、ホトトギス。
大好きです。
転勤族だった父(NHKですm(_ _)m。その上KOm(_ _)m)に、
高校まで着いて回りました。
保谷市(今は西東京市?)に住んでいたころ、家の周りには雑木林
が一杯。夏にはカブトムシも獲れました。東京都なのに!
そこに、時々咲いてました。
ヤマジノホトトギス。私が見ていたのはこんな名前でしたが、がのさん
のお写真の花は、「ホトトギス」?
「山路の」っていうのが、学名に付いているところも大好きでした。

感想、遅れております。
ラジオ放送のあった30日。私は、ごらんのとおりハロウィンパーティ
で、踊り浮かれておりました。
そこで、千葉のN田大先生に、なんと録音をお願いし!ました!
まだ拝聴しておりません。
近日中に録音テープ、お借りできる予定です。

私は、名作については、ソルジェニーツィンに言及したいと思っていま
す。
また、のちほど。
Re:Re:◆NHKラジオ「名作を読み直す」、言い残したことなど<その1>(11月08日)
がのさん (2008年11月10日 10時43分)

Kさん

【その1】
>ああ、ホトトギス。大好きです。保谷市(今は西東京市)に住んでい
たころ、家の周りには雑木林が一杯。そこに、時々咲いてました。ヤマ
ジノホトトギス。私が見ていたのはこんな名前でしたが、がのさん
のお写真の花は、「ホトトギス」?

     ----------------------------

 これは何というのでしょうかねぇ。園芸種の一種で、キバナホトトギ
スとでも? わたしにとっても、はじめて見るホトトギスでした。とに
かく、小さくて珍しいので最初はホトトギスとも知らずに、撮りまし
た。よく見れば、特徴である斑点がくっきりと…。
 ホトトギスといえば、山陰にひっそり咲いていながら、雌しべの花柱
をニュッ! と突き立て、「わたしだって、ここにいるわよ!」と自己
主張する、ちっちゃなオテンバ娘のような花。ちょっとイタズラしたく
なる可愛いさ。
 左の「ページ一覧」の「今月の花神=1」にホトトギスの画像を紹介し
ています。これがヤマジノホトトギスだと思います。Kさんがご覧にな
っていたのはこれではないでしょうか。

 この「ヤマジノホトトギス」によく似たものに「ヤマホトトギス」が
あります。これもよく目にしますね。色、斑点のつき方、花の形もよく
似ていて、見分けがつけにくいのですが、ヤマちゃんのほうは花被片を
元気にイナバウワーしているのに対して、ヤマジさんのほうはほぼ水平
に開いているのが見分けるポイント。

 わたしは、夏の終わりのころ、奥多摩・御嶽山にレンゲショウマを見
に行くことがありますが、そのとき遊歩道のわきで目にする、山の霧に
しっとりぬれたホトトギスの健気さ、新鮮さがとても好きです。
【つづく】
Re:Re:◆NHKラジオ「名作を読み直す」、言い残したことなど<その1>(11月08日)
がのさん (2008年11月10日 10時53分)

Kさん

【その2】
>私は、名作については、ソルジェニーツィンに言及したいと思ってい
ます。また、のちほど。

     ----------------------------

 そうですよ、そろそろきちんと書いてくれないと、金本先生が「うら
めしや~~!」と化けて出ますよ。

 わたしたちのその読書会でもソルジェニーツィンの「イワン・デニー
ソヴィチの一日」を昨年4月に読み合いました。いまどき流行らないの
でしょうが、大学時代には、この作品や「ガン病棟」「鹿とラーゲリの
女」「煉獄の中で」などを読みました。とりわけ好きなのは「マトリョ
ーナの家」でしょうか。短篇ですが、古きよきロシアと言ったらよい
か、バカがつくほどの正直者、他人のためにタダ働きばかりしているお
人好しの老女を、この作者は無限の慈しみをもって描いていましたね。

 「イワン・デニーソヴィチ…」やほかの代表作は、ドストエフスキー
の「死の家の記録」と並ぶ、ロシア獄中文学の金字塔といっていい作
品。政治と文学、共産主義体制下の知識人のあり方といった観点から評
価されがちですが、へんにつくられた“プラス思考”というよりは、ラ
ーゲリ(強制収容所)の現実をそのままあらわしていて、主人公シューホ
フの好人物ぶりと、それに対するスターリン・ソヴィエトのひずみを浮
き彫りにしている作品でしたね。そこには、絶叫もない、感傷もない。
零下数十度という極寒の地の収容所での起床から就寝までの一日が淡々
と、悲壮感もなく描かれていく。異状な事件や刺激的な描写はまったく
ない。囚われた不自由さのなかに小さな喜びと希望を見出しつつ楽天的
に送る日々を通して、自由の尊さをくっきりと逆照射している秀作。

 いまどきの人たちはこういうのを読まないんだろうなぁ、と残念に思
います。たぶん、わたしがこれをテクストに引っ張りだすことがなけれ
ば、読書好きのはずのわが読書会メンバーでさえ、読むことがなかった
ろうと思います。
Re:◆NHKラジオ「名作を読み直す」、言い残したことなど<その1>(11月08日)
Hiromi~さん (2008年11月12日 20時54分)

ご無沙汰いたしております。

 久しぶりに、小夜ちゃんとがのサンのおしゃべり??楽しませていた
だきました。

 私もフランスに行ってきたり、風邪を引いたり相変わらずです。

・・・・

 《蟹工船》とドストエフスキーがなぜ今話題なのかわかりませんでし
たが・・・。

 昔一生懸命呼んだ記憶があります。最近の子供たちはそういう類の本
など読まないのではと思っていましたから、不思議です!!

 
 NHKの放送もうかがいたかったですねえ~~。しばらくHPも更新してい
ませんでしたので(><;)
Re:Re:◆NHKラジオ「名作を読み直す」、言い残したことなど<その1>(11月08日)
がのさん (2008年11月13日 18時30分)

Hiromi~さん

【その1】

> ご無沙汰いたしております。久しぶりに、小夜ちゃんとがのサンの
おしゃべり?? 楽しませていただきました。
 「蟹工船」とドストエフスキーがなぜ今話題なのか、わかりませんで
したが・・・。昔一生懸命読んだ記憶があります。最近の子どもたちは
そういう類の本など読まないのではと思っていましたから、不思議で
す!
     ----------------------------

 Hiromi~せんせい、お久しぶりです。たくちゃんもフランスで、元気
にいっしょうけんめいお勉強をしているようですね。小夜の小学校でも
カナダからの先生が多くいらっしゃっていて、フランス語のお勉強をし
ます。おおきくなったら、フランスの小説を翻訳する仕事をしたいと思
ってきましたが、いまはちょっと、ちがうことも考えています。だっ
て、やってみたいこと、いっぱい、いっぱいありますので。

 小夜は、もちろん「蟹工船」も「カラマーゾフの兄弟」も読んだこと
はありません。おとうさんの書棚のすみに大事そうに置いてありますの
で、いつか読んでみたいと思いますが。たくさんの人が読んでいてブー
ムだと言われますが、小夜は言うまでもなく、おとうさんも、まわりで
それを読んでいるという人を知らない、と言います。ほんとうかなぁ、
と。マンガばかり読み、それを自慢しているようなどこかの国の宰相が
いるくらいのうすっぺらな社会、忙しい忙しいとばかりいっている社会
にあって、そういうむずかしい本を読む人は、せいぜいおとうさんたち
の読書会くらいで、ブームになるほどたくさんこれを読む人がいるとは
思えず、またマスコミと出版界のヤラセ、商業主義じゃないか、と疑い
たくもなります。
 でも、ある程度それが事実だとすれば、おとうさんがラジオでおはな
ししたようなことではないでしょうか。(あっ、それは本番前に青木さん
やアナウンサーのおねえさんと話したことで、放送はされませんでした
ね)。ウソがないこと、甘いコビがないこと、ほんとうのことを直截に書
いていること。
【つづく】
Re:Re:◆NHKラジオ「名作を読み直す」、言い残したことなど<その1>(11月08日)
がのさん (2008年11月13日 18時40分)

Hiromi~さん

【その2】

 話はズレるかもしれませんが、
 この日曜日(11月9日)、神奈川県青少年指導員大会が磯子であり、行
ってきました。いろいろな催しがあったなか、小夜にとってひっくり返
るほどのショックは、「ガーディアン・エンジェルス」というボランテ
ィア・グループの活動報告でした。横浜といえば、どうでしょうか、お
しゃれな、ファッショナブルな美しい街、高級感のあるあこがれの港町
というイメージ。ですが、その裏側では、路上犯罪や性犯罪が野放し状
態のまま横行している、危険な、醜い街でもあると知りました。荒れた
汚いところには汚いこころ、ずるいこころが集まると言いますね。晴れ
やかな横浜のウラにある暗部で繰り広げられる汚い、醜いおこない。携
帯電話の出会い系サイトが若者たちの乱倫を助長しているらしい。ここ
では恥ずかしくて書けないような、信じがたいほどの生々しいその実態
にびっくりさせられるとともに、犯罪や暴力から青少年を守り、若者を
犯罪者にしない、犯罪に走らせないため、犯罪者を寄せつけない環境づ
くりのために、武器もなく、身を守る防具さえなく、まっ赤なウィンド
ブレーカー、まっ赤なベレー帽すがたで街を駆け回る“守護天使”た
ち。すごいですねぇ。
 性風俗の街で平然とおこなわれている売買春や児童買春。ひったくり
や恐喝や万引き。暴力団がらみの薬物取引。国の法律や行政がつくる条
例ではどうにもならない、警察でさえ手がつけられない汚れた環境が、
わたしたちの生活のすぐ隣りにある、しかもそれが誤魔化したりつくろ
ったりできない真実であるということ。
 ぬくぬくと傍観者でいたら見えない真実、その醜い環境に体当たりし
て初めて知る真実。最近の格差社会で弾き出されたワーキングプアと呼
ばれる人たちは、その真実、谷間の深さと暗さをすっかり見た。「カラ
マーゾフ…」や「蟹工船」を読む人がいるとして、その求めるものは、
お体裁やうわべの華美さではない、その真実、ではないでしょうか。
Re:◆NHKラジオ「名作を読み直す」、言い残したことなど<その1>(11月08日)
dorothyさん (2008年11月23日 05時23分)

「青海波」の絵、拝見いたしました。
私が見られなかったものの大きさに
愕然としています。

ただ、がのさんのおかげで、あの
シーンの絵を見ることができて、
感謝しています。

わが子を身ごもった愛する女性、
しかも、決して逢うことのできない
女性が、今、自分を見つめている、
その想いで、舞う姿は、いかにも
神々しいものだったのでしょう。

しかも、季節は秋。夕方の傾いた
夕日に、もみぢの照りかえりの中、
まるでスポットライトを浴びたかの
ごとく、情念の燃え盛る源氏の
舞う青海波は、いかばかりだったでしょう。

NHKラジオの様子も少し感じることが
できて、大変うれしく思っています。
Re:Re:◆NHKラジオ「名作を読み直す」、言い残したことなど<その1>(11月08日)
がのさん (2008年11月23日 20時56分)

dorothyさん

【その1】

>「「青海波」の絵、拝見いたしました。わが子を身ごもった愛する女
性、女性が、今、自分を見つめている、その想いで、舞う姿は、いかに
も神々しいものだったのでしょう。しかも、季節は秋。夕方の傾いた夕
日に、もみぢの照りかえりの中、まるでスポットライトを浴びたかのご
とく、情念の燃え盛る源氏の舞う青海波は、いかばかりだったでしょ
う。
     ----------------------------

土佐光芳の筆によると伝えられる「紅葉の賀」の物語絵には、「青海
波」舞う光源氏と頭中将が右下の手前に描かれています。その上には、
注意しないと見落としそうですが、たぶん間違いないと思います、御簾
のうしろに藤壺が、そしてその前に桐壺帝が描かれています。dorothy
さんが読み解いておられるように、光源氏とのあいだに不義の子をやど
した身である藤壺は、どんな思いで禁断の恋の相手の舞いを見たことで
しょうか。
その部分も日記ページの末尾に追加して入れてみましたので、ご覧にな
ってください。複雑な思いにこころ乱れて、どうも、目を伏せ、まとも
にその舞いを見ているようではありませんね。
「源氏物語」については、昨日、ちゃこさん(岐阜)のところにいたずら
書きさせてもらいましたように、このごろはとりわけ、あっちを齧った
り、こっちをつまんだりしてきたとはいえ、このせわしなく動く世の
中、いい気になってその物語世界にうつつをぬかしていること叶わず、
最後まできちんと読むというふうにはいかない事情にありました。とり
わけ、宇治十帖のあたりまで来ると息切れしてしまうのが常。現実の醜
さを忘れさせてくれる王朝の雅、日本のことばのもつ美しい味わいとリ
ズムを楽しむほか、ひとりのやんごとなき貴顕の奔放な女漁りといった
ところ、読むこちらの品性の卑しさを恥じるところまでで終わっていま
した。で、このたび、「若菜」のへんから最後の「夢の浮橋」までを重
点に読んでみました。「浮舟」がいい! 薫、匂の宮、浮舟のところま
で来てはじめて、この物語の核心である、因果応報といってしまえばつ
まらないのですが、人の世の逃れられない宿業のようなもの、本居宣長
のいう「もののあはれ」の意味がわかったように思えました。
【つづく】
Re:Re:◆NHKラジオ「名作を読み直す」、言い残したことなど<その1>(11月08日)
がのさん (2008年11月23日 20時59分)

dorothyさん

【その2】

 柏木と女三の宮の密通。若すぎる分別の足りぬ男と女の“できちゃっ
た”愛には、軽率さばかりが目立ち、印象よろしくなく、あまり考えて
みることもありませんでしたけれど、そのあとのふたりの、死を呼び込
むほどに悶え苦しむさまにふれ、ここだッ! というものがあり、紫式
部という王朝時代屈指の知性の真意とたしなみを見たように思いまし
た。
     ☆     ☆     ☆     ☆

 ラジオで言い残したことは、あんな調子で書いていたら、キリがあり
ませんね。この30日(日)には、区をあげておこなわれる大きな大会での
講演をひかえていることもあって(文学とも読書とも関係のない、地域の
福祉環境づくりをテーマとする)落ち着かず、この「ひろば@」で書くの
はやめようかとも思うのですが、やりだしてしまったこと、自分の備忘
録として、一応、言いたいところまで言っておこうとは思っています。
月に一回か二回の公開日誌、ま、ぼちぼちと…。
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