■カラン、カラーン…。歳末の街をパンプくんでグルグル。 |
12月31日 (月) |
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地域のことをやっていると、思いがけない、しかし、考えてみればごく当たり前な体験にぶつかることになる。
年の瀬もいよいよ押し詰まった28日、そして昨30日、歳末特別警戒にあたる自警消防団とともに、消防車で街筋をぐるぐるまわった。ひと気の絶えた深夜の街。カラン、カランと鐘を鳴らし、火災や犯罪の予防を拡声器で繰り返し呼びかける。風もやんだ凍てつく街の空気のなか、それの音はよくひびきわたった。11自治会でつくる連合自治会の今年最後の活動である。
ひとまわり約45分。まわってきて団小屋について休憩。そこには、お燗されたお酒と豚汁、それにさまざまな人から差し入れされたつまみ料理が並んでいる。大型ストーブの熱はダウンジャケットを焦がすほどに熱く、体じゅうが火照る。体もお腹のほうもあたたまったところで、もう一度、街をひとまわり。大型消防車の乗り心地は、うん、なかなかである、「ジプタ」の話のように、ちょっと自慢したくもなる気分。
帰って来て、またストーブのまわりに。部厚く着込んだ自治会役員さんたちのあいだを、スーツ姿で頭を下げ下げ、くるくるまわる人たちがいる。胸に金色の丸いバッジ。誰だと思いますか? 衆議院議員、参議院議員、県会議員、市会議員たちである。先の参院選で落選したのもいる。夫婦で顔をそろえて来ている人も。なるほど、議員とは、こんなとき、こんなことをしなければならないのかと、恐れ入りました。こちらは酔った勢いがあるもので、日ごろのうっぷんをぶつけ、言いたい放題をまくしたてる。彼らは、それにひたすら調子を合わせてうなずいたり相槌を打ったり。「まあ、そこの椅子にかけないかね」とすえつけられ、あわれ、完全に聞き役。この寒気のなか、ご苦労なことである。冗談半分、冷やかし半分に、わたしに選挙に立てという人も周囲にいてやかましいのですが、わたしにはとてもこんな努力はできないし、お金もないし、ふざけんじゃないよ、とんでもない、とんでもない!
この自警団による特別警戒活動は大晦日までつづけられるが、わたし自身のお役目は昨日をもって終わり。ついでにご紹介しますと、これより先、12月25、26日には、小学4、5、6年生たちといっしょに団地のなかをくるくると夜回り。例年だと子どもの参加者はさびしいほど少ないのだが、今回はいつもの3倍、30人あまり。自治会で用意する景品をあわてて追加しなければならないひと幕も。女の子が3分の2、というのはどんな意味か? 920戸をかかえるマンモス団地。ふたつのコースに分かれて、「火の用心」カチカチ、「火の元、用心、火の用心」カチカチ、「マッチ一本、火事の元」カチカチ、「タバコの吸い殻、気をつけて」カチカチ…。拍子木の硬い音が立ち並ぶ団地の棟と棟のあいだに反響して、よくひびく。子どもたちの声は、寒気のなかをよく透る。
ここに住んで早や20年余。これまでこんなことはまったく他人事のひと任せ、ぜんぜん関心もなかったけれど、地域とは人びとのこんな小さな努力でつながっているのだな、コミュニティの源泉はこんなところにあるのだな、とはじめて思い知らされた次第。
ええ、そりゃあ、もちろんたいへんです。ほかの人はぬくぬくと部屋の暖房につつまれているときですしね。でも、いつでも、どこでも、ひとが動くところには、こころあたたまる出会いとふれあいがあるものですね。じっとしていては得られない物語が動いて。
このWebサイトに名を連ねているからには、月に1回くらいの書き込みをしないとまずいかな、というわけで、みなさんには何の役にもたたない話ながら、一年のどんずまり、ちょっとだけカッコつけさせてもらって…。
どうぞ、よいお年を。
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Re:■カラン、カラーン…。歳末の街をパンプくんでグルグル。(12月31日)
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candyさん (2007年12月31日 19時24分)
寒い中ご苦労様です!
でも、さすが横浜の自治会・・・と感心しています。
私の団地でも毎年回り持ちで年末の火の用心を回りますが、それほど政
治家は来ませんし、子ども達の火の用心団はありません。
子ども達と回る火の用心は良いですねえ~!
新年から週一度団地の中を防災団として、ボランティアで夕方回るメン
バーに入りました。すごく暇なわけではないのですが、文庫で自治会館
もお借りしているし、地域のおばちゃんとして少しでもお役に立てるな
らばと準備会に参加してみました。 がのさんのように退職して時間が
たっぷり(がのさんは違いましたね)ある男性がほとんどですので、「毎
日朝、夕回りましょう!!」と言う意見を出された方もいて、とてもつい
ていけないなあと思いましたが、「夏休みにお母さん方が毎日夕方お当番
で回っているのを参考にしてはどうですか?」という地域で子育て経験者
としての私の意見が通り、無理せず、沢山の方が参加できる形で始める
ことになりました。今まで何もかも奥さんに任せてきた男性達が地域に
関心を向けてきていることは歓迎すべきことだと思います。これに、現
役のお母様方も加わってくださるともっとみんなの交流がいい形ででき
るのになあと思っています。このままいくと老人会!!になりそうです
から。
新しい年もお身体に気をつけてご活躍下い。
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Re:Re:■カラン、カラーン…。歳末の街をパンプくんでグルグル。(12月31日)
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がのさん (2008年01月01日 17時55分)
candyさん
明けましておめでとうございます。
どうぞ本年も相変わりませずお願い申し上げます。
【その1】
>私の団地でも、毎年、持ち回りで年末の火の用心を回りますが、それ
ほど政治家は来ませんし、子ども達の火の用心団はありません。子ども
達と町を回る火の用心は良いですねえ~!
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小・中学校の子どもたちの前で口演する機会が何度かあり、そんなな
かで、まだ小学生だから、まだ幼いのだから、といって甘えていてはい
けない、与えられ保護されるべき立場にのみ甘んじていてはいけない、
人はいろいろな人に支えられ助けられて生きる存在だが、それだけでな
く、自分のもっている能力を貸してやる、与えてやることによって、は
じめて「人」が「人」として生きることになるのだ、困った人を見たら
勇気をもつて手を貸してやろう、あたたかい小さなきみたちの手を、お
年寄りのみんなは大好きなんだから、…といったようなことを機会ある
ごとに訴えるものですから、少しは地域にこころを向ける子どもも出て
きてくれるようになっています。地域活動を将来へつないでいく、とい
う点から、彼らの参加はたいへん重要と考えています。夜回りをともに
する、川に沿う遊歩道をいっしょに汗して一斉清掃するなど、そんな形
で異なる世代が触れ合うことになり、子どもたちは社会力(どっかの大
学教授のいう机上の「社会力」とは違いますよ!)を自然のうちに身に
つけていくのだと、校長・副校長たちとたびたび語り合って進めていま
す。
ええ、ここでは、国会議員、地方議会議員には直接、よく会い、よく
議論しますよ。歳末特別警戒のようなときには議会は終わっているので
問題はないとしても、よくそんなに時間があるものだ、と思うほど、夏
祭りや神社の祭礼といった地域の行事や学校の行事、福祉施設でおこな
う季節行事、社会福祉協議会のさまざまなイヴェントなどに顔を出して
います、ある特定の党に所属する人を除いて。票集めももちろん意識に
あるでしょうが、地域のオピニョンリーダーたちと顔をつないでおくこ
とが、政治をしていく核心的な力になっていく、と考えているのでしょ
うね。意見を求める文書も、うるさいくらいよく届きます。
【つづく】
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Re:Re:■カラン、カラーン…。歳末の街をパンプくんでグルグル。(12月31日)
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がのさん (2008年01月01日 17時57分)
candyさん
【その2】
>新年から、週一度、団地の中を防災団として、ボランティアで、夕
方、回るメンバーに入りました。地域のおばちゃんとして少しでもお役
に立てるならば、と。無理せず、沢山の方が参加できる形で始めること
になりました。これに、現役のお母様方も加わってくださると、もっと
みんなの交流がいい形でできるのになあと思っています。このままいく
と老人会!になりそう。
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老人会! まさにそうなんですね。さまざまな地域行事、文化行事を
進めるうえで、若い世代に期待、積極的な関わりを期待して重要な役割
を負わせようとするのですが、なんだかんだと言って逃げてしまいま
す。逃げられてしまった分をカヴァーして貧乏クジを引くのが、いつも
わたしのようなもの、ということになってしまいます。結局、あてにな
るのは、体力はないが安定した時間をもつご老人の方がた。重層的なコ
ミュニティをつくっていくむずかしさがここにあります。あっちでもこ
っちでも文化環境が壊れてしまい(壊されてしまったのは、自然環境だ
けではなく、人のこころの持ち方も)、支えあうことも知らない世代、
すべてをオカネに換算して計る社会にマニュアルどおりに生きることに
慣れてしまった世代との共生にはむずかしいものがある、と、つくづく
思いますね。
わたしたちの町では「学援隊」というものを組織し、小学生たちの登
校・下校を見守り、犯罪から子どもを守る活動をかなり厚く展開してい
ます。ここでは、十分とは言えないまでも、若いおかあさんたちと地域
の人たちとの協働がはかられ、割合うまくいっていますね(わたし自身
は、口のほうばかりで、現実的にはあまり関われないでいますが)。わ
たしたち高齢の部類に属するものにとっては、まぶしいほどに若い輝き
をもった彼女たちとのふれあいは、なかなか得がたい楽しみなのです
が。
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Re:■カラン、カラーン…。歳末の街をパンプくんでグルグル。(12月31日)
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サンサンさん (2008年01月01日 19時08分)
体の芯まで冷えるような寒さの中で、夜回りをなさったのですね。
ぱんぷくんに乗って、、、
そういう地域を支える活動、大切ですね。
ご苦労様でした。
実際の体験から来る何かが伝わってきます。
ぜひ、選挙に出て欲しい、、、
お金がないとだめですか?
きっと支えて下さる方たちが出てきますよ、がのさんなら。
選挙に出るにはたくさんの経験を経てきて、
ちょうど、いい年齢になられたと思いますが、、、
子どもたちのために立ち上がってくださいな。
ぜひ、
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Re:Re:■カラン、カラーン…。歳末の街をパンプくんでグルグル。(12月31日)
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がのさん (2008年01月01日 21時24分)
サンサンさん
>ぜひ、選挙に出て欲しい…、お金がないとだめですか? きっと支え
て下さる方たちが出てきますよ、がのさんなら。子どもたちのために立
ち上がってくださいな。ぜひ、
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ま~、サンサンさんともあろう方までが、何チュウ冗談を!
ハッハッハ…、それは今年の干支のネズミさんが「チュウ」でなく
「にゃん、ニャ~ン」と鳴くようになったとしても、サンサンさんがNHK
の紅白の舞台でモーニング娘といっしょに短いスカートで踊るようにな
ったとしても、地球に引力がなくなり人が頭でポコポコ歩くようになっ
たとしても、あり得ようはずのないこと、冗談ですよ、悪い冗談。
そもそも、わたしの家は古くから地方(痴呆)政治をやる家系。おれ
だけは、それをぜったいにやらない、ということで勝手に東京の大学に
飛び出し、貧乏しながらラボをやり、何にも囚われぬ自由でなくちゃ、
と、ケロリとそこもやめ、極貧に耐えながらもっと困っている人のため
にヴォランティアをやったり、かすかす地域福祉活動をやっている、た
だのつまらぬ凡夫。政治をやるためには、ぎらぎらした欲がないとダメ
でしょう。そんなもの、まったくありませんので。それに、「立ち上が
る」にも、このごろは腰が痛くって。
このまわりには、30代、40代の意欲的な、フットワークの軽い若い議
員さんが割合と多いんですね。中にはなかなかの美人も。せいぜいそう
いう人たちに、ケチな難癖をつけてからかうのがいいとこでしょう。彼
らは、少なくとも、固定観念に固まった老獪な政治家にはない、しなや
かな発想と真剣さがありますので、話をしていても楽しいですよ。票の
ことばかり考えているようなのは所詮ダメですが、「偽」と「嘘」でな
い、「信」と「真」をぶっつけあうに甲斐ある人なら。どうもこのごろ
軽視される傾向にある子どもの教育の問題も、老人の介護福祉の問題
も、期待を彼らに託すしかないわけですし。ええ、先にここで書いた小
学校低学年への英語導入の問題も、冬の星座が冷えて冴えわたる年の瀬
の夜、大型ストーブに手をかざしながら遅くまで語りあいましたよ。
どうぞ、この一年、サンサンさんのうえに、健康と充実の日々が注が
れますよう…。
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Re:■カラン、カラーン…。歳末の街をパンプくんでグルグル。(12月31日)
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Hiromi~さん (2008年01月04日 20時59分)
娘たちもかえってようやくPCに向かっています。
夜回りのお話。なにかほっとしますね。わが団地でもボランティアの方
がたが、夕方と夜、回ってくださいます。中には拍子木をたたいて【火
の用心・・・】
昔、父たちが近所3軒一組で夜回りをしていましたね。一晩に3回ほ
ど回っていました。宿になると一晩中お酒を飲みながらけっこう楽しん
でいたことを思い出します。
いろいろくらいニュースがあった2007年。今年はいい年になると
いいですね。
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Re:Re:■カラン、カラーン…。歳末の街をパンプくんでグルグル。(12月31日)
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がのさん (2008年01月04日 23時13分)
Hiromi~さん
【その1】
> 夜回りのお話。なにかほっとしますね。わが団地でもボランティア
の方がたが、夕方と夜、回ってくださいます。中には拍子木をたたいて
「火の用心…」
----------------------------
「時代遅れだよ、このごろのキッチンはすっかり電化され、今どき、
マッチで火を点ける家なんてないよ」などといわれながらも、「マッチ
一本、火事のもと」と昔ながらに声を張り上げて呼びかけるおかしさ。
自衛消防団による歳末特別警戒も、自治会の主催による子どもたちと
の夜回りも、以前からやられてきたことは知っていましたが、まさか自
分がその呼びかけ人になって行なうなどとは、これまで思ってもいませ
んでした。意識したことはありませんでしたが、この町が形成されてか
ら何十年にもわたって、好む・好まないにかかわりなく、それは、ずっ
とやられてきた地域の慣習。実際、このことによってどれほどの火災と
犯罪が防止されたかは、わかりませんが、たしかなことは、凍てつく冬
の星座の下、寒い北風のなか、あるいは雪の降りしきるなか、番小屋の
乏しい明かりのもと、人びとがあつまり、火を囲んで酒を呑みかわして
体をあたため、遅くまで差別なく語り合い触れ合うなかで、コミュニテ
ィがつくられていったこと。議員たちがそうした機会を大事にするの
は、そこにこそ地域づくりのエネルギーと良心があると感じているから
ではないかと思います。
まあ、なるほど、時代遅れ、時代錯誤かも知れません。すべてがオカ
ネで計られるあまり、目先の利得に走ることに心を奪われるワダチには
まった、このごろの人のなかには、こうした古い慣習と雰囲気を好まな
い人、関心のない人も少なくありません。地域の文化環境をつくり継承
していくのは、そういうわずらわしさを避けたがる彼らでないことだけ
は確かですね。山口のスミティさんが送ってくださった15周年記念文集
に、「人は人の中でしか人になれない」ということばがありました。同
じように、人と人とのあいだでしか、社会も文化も育っていかない、と
いうことでしょうか。
〔つづく〕
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Re:Re:■カラン、カラーン…。歳末の街をパンプくんでグルグル。(12月31日)
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がのさん (2008年01月04日 23時26分)
Hiromi~さん
【その2】
> いろいろくらいニュースがあった2007年。今年はいい年になるとい
いですね。
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ぜひとも、そう願いたいもの。
Hiromi~さんの一年が、健康と幸せに恵まれたものでありますよう、
こころより念じ上げます。
このごろは、さまざまに尽くす努力も、空回りすることのみで、一日
ごとに、老い、病み衰えていくこと、からだのあちこちの痛みに耐える
ことのみ多く、次の世へ、一日ごと近づいていることを知るこのごろ。
才なき身の悲しさ、いまやっておかねばならないことは何か、その模索
ばかりで…。かくなる上は、やけくそまぎれ、最後のあがき、仮面をつ
けてバカ騒ぎでもしますか。
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