幼児教育・英語教室のラボ・パーティ
■■■ 運営事務局より ■■■
ひろば@LABOは,ラボ教育センターが展開する
「ラボ・パーティ」に関わる皆さんのコミュニティ・ネットワークです。
「ラボ・パーティ」については 公式サイト  をご覧ください。
ラボ公式HPTOP新着一覧趣味・ゲームランダム新規登録戻る 0496095
  
Home
Diary
Profile
BBS
Bookmarks
Schedule
メール
・メッセージを送る
・友達に教える
ページ一覧
・ 創作短編童話1
・ 青少年育成
・ アート回廊=1
 アート回廊=2
・ 勘違い語塾
・ 旅の落し文
 HAWAII
・ ものはづけ①
 ことばあそび
 読めますか
・ 萬葉植物
・ 小夜 & GANOトーク=1
 S&Gトーク=2
 S&Gトーク=3
 S&Gトーク=4
 S&Gトーク=5
 S&Gトーク=6
 S&Gトーク=7
 S&Gトーク=8
・ 古典芸能〔1〕
 伝統的技芸
 古典芸能(2)
・ 物語寸景(1)
 物語寸景2-1
 物語寸景・3
 物語寸景・4
 物語寸景2-2
 物語寸景・5
 物語寸景2-3
 物語寸景2-4
 物語寸景・6
 物語寸景2-5
 物語寸景・7
・ つれづれ塾《1》
 その《2》ラボ
 その《3》映画1
 その《4》植物
 その《5》古典1
 その《6》詩歌
 その《5》古典2
 その《3》映画2
・ 今月の花神=1
 今月の花神=2
・ 本、譲ります
・ ウの眼
 タカの眼
 イワシの眼
・ 狂歌で遊ぼ!
 川柳で遊ぼ!
 変漢ひろば
 狂歌-〔2〕
・ 小径を行けば…
・ ことばの旅路①
 その《2》
 その《3》
0705
[一覧] << 前の日記 | 次の日記 >>
★寡黙な男が仕事を終えるとき、映画「山の郵便配達」 07月25日 (水)
 中高年者を対象とする映画鑑賞会を年に2~3回、地域でおこなっています。今回提供したのは「山の郵便配達」。1999年、中国で製作され、2001年、岩波ホールでロングランを記録した名作映画。その魅力とは何だったろうか。ご覧になりましたか、この映画。
 原作=彭見明(ポン・ヂェンミン)、監督=霍建起(フォ・ジェンチイ)。わたしが地域で主宰している「ふれあい読書会≪どんぐり≫」で、2002年5月に採りあげ、多くの仲間と原作をじっくり読んで話し合った。その5年後に観た映画。原作を読んだあとに観る映画の常として、どうしてもその描き方にはもの足りないものを感じてしまうとしても、報われることの少ない地味な人間の努力と、強い使命感だけを心の支えに、淡々と、黙々とつとめ続ける男の、孤独だがすがすがしい生きざまは、しみじみたる感動がある。

konronka01
崑崙花(パルウィフロラ)(本文とは関係ありません)

 世代交代のときにある親と子のあいだの微妙な心理のアヤなどは、原作にふれたものには、描ききれていないな、というもどかしさが残る。しかし、それが映画というものなのだろう。映像表現には限界があり、そういう楽しみ方をすべきなのだろう。その代わり、というか、映像は美しい。あまりにも美しい。そうはいっても、観光名所になり人を集めるような美しさとはぜんぜん違う種類のもので、人間のこころの底にいつもあるふるさとの原風景を想わせる風光を映す映像である。「きれい!」ではないが、こころに美しく映る自然のすがたにつつまれた、素朴な人間の飾りない良心のかたち。

 これまで誰も注目したことのない中国大陸の奥深い山岳地帯。少数民族が山のヒダにへばりつくようにして生きている地の風光である。湖南省のものという。重畳なす山々がそそりたち、道らしい道もない。渓流に踊る雪解け水に胸まで浸りながら、郵便物を頭のうえに載せて川を渡ることも。そういうところを1回2泊3日、120キロの行程を週に2回。体重を越すほどに重い郵便袋を背に、欠かすことなど許されず歩きつづける。
 そうした苦労を引き継ぐことになる若い息子とともに、老いた父親は膝の痛みに耐えながら最後の仕事にのぞむ。「このくそ重たい荷物。遠く険しい道。いまなら車やバイクをつかって運んだらいいじゃないか」と20歳の息子は不平をこぼす。「道というのはな、歩くためにあるんだ」という父親。父と子がたどるこの長く困難な配達業務のなか、交わされることばはあまりない。ときには反目しあうこともあるが、山奥にひっそりと暮らす貧しい人びとと父親とのあいだに結ばれている信頼の絆にふれるうち、父親のやってきたことの尊さを一つずつ理解していく。

 笑いがあるわけじゃない。涙があるわけじゃない。観るものをハラハラ、ドキドキさせる波乱万丈なドラマ展開などまったくない。これ見よがしの感動の押し売りもなければ刺激的なこけ脅しもない。映画にお決まりの恋も、山の空気の流れ程度のかそけさで示されるだけ。原寸大の人びとのつつましい生活があるだけだ。どんなときも控えめで、人には誠意をこめて尽くす。つまらぬ不平不満はこぼさない。人の悪口はぜったいいわない。そういう人間のたたずまい、そこで自然につくられていく人と人との絆が美しい。能率を競う現代が失ってしまったものに出会う映画で、奇を衒い、あくなき刺激と興行収入を追求するハリウッド映画の薄っぺらさとは異質の、すばらしい映画だといえようか。

 ☆…転記スミ ⇒ ページ一覧「つれづれ塾《3》映画」
Re:★寡黙な男が仕事を終えるとき、映画「山の郵便配達」(07月25日)
みかん(でこぽん)さん (2007年07月25日 21時48分)

大好きな映画です。映画館でもう一度みたいですね~。

そうですか、原作はもっといいのですね。読んでみたいと思います。

「北京バイオリン」も好きです。

ニュースで入ってくる中国は、なんだか、???となることもあります
し、1人1人の人を描いた、こんな作品に、今からも出会いたいと思い
ます。

アランブースさんの本”The Roads to Sata”、まだ、本州です。7月のお
盆の頃、北国のお盆が描かれてあるところを読み、うち辺りとずいぶん
違うな~と、思い、新潟の地震の頃、ブースさんは本の中で新潟を徒歩
縦断中で、私はニュースの「柏崎」にすぐ反応しました。

ちょっと、とばして、広島の所と、熊本の所は読みました。広島では胸
ふさがれました。熊本は、阿蘇から大津、熊本市へと下って行かれたよ
うです。この数年、テューター研修でよく使う部屋から、アランさんの
通った路が見えます。何だか不思議です。

また戻って、昨夜は9月15日の敬老の日で、天橋立辺りです。夏休み
中には読み終えたいと思います。
Re:★寡黙な男が仕事を終えるとき、映画「山の郵便配達」(07月25日)
さちこさんさん (2007年07月25日 22時03分)

がのさんの日記を拝見して、ぜひ見たいと思いました。

最近の小説や映画を見て思うのです。
やれ、日本が水に沈むだの、地球に隕石がぶつかるだの、
主人公は不治の病であったり、または超能力者であったり。
こうまでしないと、
日々の生活に幸せを感じることが出来ないのかしら?

去年、季節は忘れてしまいましたが、
岐阜・金華山がある公園で電飾のイルミネーションで飾られていまし
た。
ここは清流長良川が流れ、鵜飼の篝火がとても美しい場所の近く。
ピカピカ光る電飾を見て、
「ここまでコテコテにしないと
 きれいと感じることが出来なくなってしまったんだ。」
やりきれないものを感じました。

人間も、風景も、日々の暮らしも、
足さずひかずそのままを見つめていたい。
そうすることが一番の幸せ。
このことを教えてくれた家族に感謝の毎日です。
Re:Re:★寡黙な男が仕事を終えるとき、映画「山の郵便配達」(07月25日)
がのさん (2007年07月26日 10時52分)

みかんさん

【その1】
>大好きな映画です。映画館でもう一度みたいですね~。そうですか、
原作はもっといいのですね。読んでみたいと思います。「北京バイオリ
ン」も好きです。
ニュースで入ってくる中国は、なんだか??? となることもあります
し、1人1人の人を描いた、こんな作品に、今からも出会いたいと思い
ます。
     ----------------------------
 いま中国というと、輸入食品の安全性に問題があるとされ、日本人に
は印象がよくありません。これも、能率が問われ、経済性が追求される
生産現場のひずみと見ることができましょうか。そこには、「人間」は
存在せず、生産者と消費者のすがたしかありません。それにひきかえ、
このすぐれた映画が描き出す世界は、さちこさんが言ってくれたよう
に、足すこともない、引くこともない、人間そのままの世界。ごまかし
はどこにもなく、利潤を求めて駆け回る人のすがたはどこにもありませ
ん。急をなす山の斜面は、人が走るにはふさわしくないということでし
ょうか。

 みかんさん、この映画をご覧になったのですね。ただに「感動」とい
うのとはちがう、しみじみとした味わいをいつまでも残す映画でした
ね。ええ、原作にはもっと深い味わいがあります。アラン・ブースもい
いですが、夏にはどうぞこれも読んでみてください(大木康=訳、集英社
刊)。彭見明(ポン・ヂェンミン)という書き手については何も資料を持ち
ませんが、新人作家でしょうか、その文体はあまり達者とはいえず、む
しろたどたどしいですが、若々しく無駄がないものでした。
【つづく】
Re:Re:★寡黙な男が仕事を終えるとき、映画「山の郵便配達」(07月25日)
がのさん (2007年07月26日 10時53分)

みかんさん

【その2】

 五輪を前に高い槌音のひびく北京や上海などの近代的都会生活からは
まったく忘れられたウラっ側にあるような人びとの生活。まっすぐで
す、純粋です、俗情などなく、さわやかです。困難な仕事を受け継ぐ若
ものの、リタイアしていく先人への思いやりと、うぶうぶしいひとり立
ちのすがたが、わけても美しい! 登場する人物も少なく、これがどう
して映画になるのかと思わされましたが、そこは、さすが、ということ
なのでしょう。たいそう印象のいいおかあさんが登場し、息子のひとり
立ちをはらはら見守り、家族のぬくもりをつくっていますが、これは原
作にはありませんね。日記のほうで書き落としたことに、愛犬の「次男
坊」のことがあります。犬ぎらいのわたしでも、こんな犬なら、と思う
くらい、賢くてかわいい。
Re:Re:★寡黙な男が仕事を終えるとき、映画「山の郵便配達」(07月25日)
がのさん (2007年07月26日 11時48分)

さちこさんさん

【その1】
>がのさんの日記を拝見して、ぜひ見たいと思いました。
最近の小説や映画を見て思うのです。やれ、日本が水に沈むだの、地球
に隕石がぶつかるだの、主人公は不治の病であったり、または超能力者
であったり。こうまでしないと、日々の生活に幸せを感じることが出来
ないのかしら?

人間も、風景も、日々の暮らしも、足さずひかずそのままを見つめてい
たい。そうすることが一番の幸せ。このことを教えてくれた家族に感謝
の毎日です。
     ----------------------------
 日本で刊行されている本や上映された映画のタイトルは「山の郵便配
達」。これはこれでぴったりだと思いますが、原著では「那山 那人 
那犬」となっているそうです。「あの山、あの人、あの犬」といったあ
たりでしょうか。ほとんど人の住まない山岳地帯の遠い道のりを、郵便
をくばってまわる過酷な仕事。うれしい知らせもあれば悲しいことを伝
えるものもある便り。その喜びも悲しみもともにする仕事。どこを見て
も山また山、そこに質素な暮らしを営む人びと、その人びととの飾り気
ないふれあい、報われることの少ない孤独な仕事の友をするのが、なか
なか気の利いたかわいい犬。こちらもぴったりのタイトルといえましょ
うか。いかに中国が高度な経済成長を遂げ近代化されようと、人がふつ
うに生きていくときに大事にされるべきものをしっかりとどめるこのす
がたは、これからも変わることなく残っていくのではないかと思われま
す。【つづく】
Re:Re:★寡黙な男が仕事を終えるとき、映画「山の郵便配達」(07月25日)
がのさん (2007年07月26日 11時50分)

さちこさんさん

【その2】

 そうなんですね、つまらぬもの、無駄なものを足しもしなければ引き
もしない、そんな「原生活」の幸福のゆたかさと美しさが満ち満ちてい
ます。そこには、特別にすぐれた人間がいるわけでもない、支配する(指
導する)ものも服従するものもいない、声高に経営改革を叫んで狂奔する
ものもいない、平等とか公正とかということばも必要のない、なだらか
な生活。
 なになに、さちこさんにその幸せを教えてくれたのはご家族ですっ
て!? そうですか、もっとそのことを詳しく聞きたいですね。

 このたびの新潟中越沖地震の被災のすがたを見て思うのもそのこと。
これまでの過剰なまでの利便を一挙に失ったこんな非常時にあって、な
お無くてならないのは、必要量の水と食料、そして力を合わせて助け合
える人と人の絆。高度な文明の利器など何の役にも立たないことが多
い。「山の郵便配達」は、いま、わたしたちに何が大事にされなければ
ならないかを考えさせてくれる映画で、DVD(皮肉にも、この文明の利器
で!)で簡便に見られると思いますので、ぜひこの夏に。
Re:Re:Re:★寡黙な男が仕事を終えるとき、映画「山の郵便配達」(07月25日)
さちこさんさん (2007年07月27日 22時29分)

がのさんへ

>なになに、
>さちこさんにその幸せを教えてくれたのはご家族ですって!?

本当に、がのさんが仰るとおり、たわいもないことなのです。

小さかった娘が公園のむこ~うから走ってきて
「8ちゃんのお母さん!」
と言って抱きついてくれたこととか。。。
息子を自転車のこども用座席に乗せて、
過ぎる電車に手を振ったり、
坂道を「うひょ~~!」と風を切りながら走ったこととか。。。
主人が握ったおにぎりを家族4人で食べることとか。。。

抱きついてくれた子どもの体温を今でも鮮明に覚えているし、
その子を抱きしめたときの幸福感は今まで経験したことのないものでし
た。
小さかった息子の頭越し、汗のにおいも覚えているし、
主人は明日もおにぎりを握ってくれるでしょう。
こんな小さいことにふるえるような幸せを与えてくれる家族。
この大切な家族に
こどものことなど何も考えない、
娯楽を追及したおもちゃなどの物質的な幸せを足したくはないし、
おけいこごとなどで費やす時間をひきたくはないのです。
そのまま、ただ、抱きしめていたい。
私はそれで充分なんです。

すみません。
ひとりごとのような書き込みです。

映画を見たら、またこちらにお邪魔しますね。
Re:Re:Re:Re:★寡黙な男が仕事を終えるとき、映画「山の郵便配達」(07月25日)
がのさん (2007年07月28日 23時38分)

さちこさんさん

【その1】
 飛びついてきた子どもの体温に、その汗のにおいに、言うに言われぬ
幸福を感じる。〔香福〕
 ご主人がつくってくれたホンワカおにぎり(器用なんですねぇ!)に、
幸福を感じる。〔口福〕
 自転車に乗ってお出かけ、風を切って走るときの爽快さ、幸福さ。
〔行福〕
 さちこさんは、さちこ、そのお名前のとおり、幸福を感じる名人なん
でしょうかね。すばらしい。

 やんちゃざかりの子どもさん二人をもって、夏休みに入り、ラボに地
域活動に八面六臂バタバタしているというあるテューターに、つい先日
書いたことですが、
 「子どもさんとシッタバッタしながらすごす夏。たいへんでしょう
が、それも楽しいもの。子どもが大きく成長して自立、親をかえりみな
くなったとき、その日々が何にも増して美しい宝物のようにして思い出
されますよ。子どもって、ほんとうにありがたい」。
 あるいは、先日さちこさんに書いた郡上八幡のこと。いまごろはまさ
に2か月にわたる「郡上おどり」(国の重要無形民俗文化財指定)に沸い
ていることでしょうが、あの小さな城下町をうるおす名水。ああしたい
い水に恵まれた土地は、地球にどんな異変があろうとも生き残っていく
んだろうな、ああした町に生きている人は、たとえ貧しくとも幸せなん
だろうな、と思いました。

 きょうは、わたしたちの町は夏祭り盆踊り大会。きのうはヤグラづく
り、提灯吊り、きょうは早朝から数百の椅子やテーブルを運びこんだ
り、20張りのテントを立てたり、午後からは参院選投票所の会場づく
り。肉体労働で汗は滝のよう、もう立っていられないほどの疲れ。夕方
に盆踊り会場にもどれば、おかあさん・おばあちゃんに手を引かれなが
らやってくる浴衣すがたの女の子たちの可愛らしさ。まわりを飛び跳ね
る少年たちの顔の輝き。どの顔もどの顔も幸せそうでしたよ。

 ひとに言っても理解してもらえないだろうようなささやかな幸せとい
うことでは、いまのわたしには、福祉ボランティアのなかで老人がここ
ろを開いて自分の生きてきた日々を生き生きと語ってくれるようなと
き、そこに香り高いひとつの命の花、それぞれの花を見るとき。
【つづく】
Re:Re:Re:Re:★寡黙な男が仕事を終えるとき、映画「山の郵便配達」(07月25日)
がのさん (2007年07月28日 23時39分)

さちこさんさん

【その2】

 「きのうのわたしは幸福でした。とびきり幸福でした。いや、このう
えもなく幸福でしたよ! たとえ一生にいっぺんだとしても、強情っぱ
りのきみが、わたしのいうことをきいてくれたんですから」ドストエフ
スキー「貧しき人びと」の冒頭の有名な文章。小心で善良な小役人の若
者と薄幸な少女との不幸な恋の物語ですが、つながらなかったこころが
何かのひょうしにピッとつながったように見えたとき、体いっぱいに満
ちてくるあたたかみある幸福。

 いつも不平をいい、本質には触れないままちょっぴりだけ批判するこ
とで小利口ぶっている人にくらべると、ほんの小さなことにも幸せを見
出すことのできるさちこさんのような感性は、天が授けてくれたものか
もしれませんよ。みんなちがってみんないい。どんな幸せもみんな幸
せ。大事にしましょう、その小さな幸せ。
<< 前の日記 | 次の日記 >>
Copyright(C)2002 Labo Teaching Information Center.All rights reserved.