幼児教育・英語教室のラボ・パーティ
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ちゃこの日記 [全413件] 351件~360件 表示 << 前の10件 | 次の10件 >>
ふるやのもり 09月30日 (木)
小さい孫がお泊りに来ると、やはり寝つくまでお付き合いすることになる。「おばあちゃん、おはなしして」という。彼女のママは、本を読んだ後、眼をつぶらせて、部屋を暗くして、お話をする。毎晩どんなお話をしているのだろうと思うと、「ぞうさんがね・・・」[きりんさんとしまうまくんが・・・]とやっている。ママの即興の話なのだ。二人のチビたちは喜んで聞いている。おばあちゃんの私は、やはり知っている昔話、特にラボの話がすぐに出てくる。

 「ふるやのもり」も人気のある話だ。今の子どもにとっては、はりのうえ・・・とか、たわしのような・・・とか、あまもりすらイメージすることは、容易でないと思う。私は、お話をしていても、本を読み聞かせていても、その子の知らない言葉というのには、余り気にしない。だんだん自分でひとりでに分かっていくもののように思う。またその分かったとき(もし自分が勘違いをしていたりすると、特に)が、印象的で、うれしいものであると思う。

 私の家の近くには、笠松競馬場があるから、厩舎がある。人の住まいのすぐ隣に馬の部屋があるという状態で、馬の世話をしながら生活している人たちの一画がある。そこには、一般の人は自由には入れなくて、入り口の守衛に、誰のうちを訪問したいかを連絡して、入らねばならない。その一画にラボっ子がいたので、数人のラボっ子と、そこを訪問したことがある。はりも、わらやまも、子馬の姿も、それこそ、その臭いとともに一目瞭然である。

 「おおかみは、死に物狂いで走る。泥棒は、おおかみの両耳をむがむちゅうでにぎりしめた。」・・・こんなところをテーマ活動で本気になると・・・どうなるか・・・ふざけるか、まね事になるか、が多いと思う。私はいつも、それぞれが自分ひとりで本気になりきる、力も入れる、ようにした。そして、それぞれが相手にふれそうで触れない状態で本気になる。これが本人も、周囲の人も本気になって迫力を感じる表現になる。

 ―――はじめ、「ふるやのもり」と聞いたとき、ふるいよるの森かと思いました。どろぼうも、おおかみも、ふるやのもりをおそれているときが、おもしろかったです。「古い家だからあまもりがするからこわい」といっても、だれもこわがらないけど、「ふるやのもり」といったので、どんなばけものかと思ったのです。おじいさんもおばあさんも、じょうずだなあと思いました。―――Y子(小5)

 ―――おじいさんとおばあさんが、自分の住んでる古い家に雨もりがするのを、「ふるやのもり」とよんでいました。こんなあばら家はいやだなあ、といえば、不平を言っていることになるけど、こうしておばあさんたちは、ユーモアをもって生きているのだと思いました。
 びくびくしていた、どろぼうとおおかみは、たった一粒の雨のしずくをうけたどろぼうのために、命からがら逃げ出して、おおそうどうになりました。森の動物たちもいばっているサルをおだてて化け物たいじに出しました。がんばったサルは、しっぽがきれてしまって、おもしろいはなしだと思いました。
 そして、これは、なぜ、おさるのおしりやかおはあかいか。という話だということもできます。なぜ、おそばのくきは赤いか。なぜ、うみの水はしおからいか。という本もあります。―――A子(小6)
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みるなのはなざしき 1 09月27日 (月)
これも、「みるなのくら」とか、「うぐいすの里」とか、読み比べることが出来る。ラボの「みるなのはなざしき」は、テーマ活動のことも考えられて、音、色も、イメージの中に入ってくる。ついでにこれは、私の「語り」の十八番でもあった。

 ある年、これが、国際交流の共通テーマとなった。テューター仲間が集り会食することとなり、その中に一人シャペロンもいたので、私の急な思いつきで、12の部屋を、料理であらわした。音楽と語りで、順々に出てくる大皿の上の表現を思い出してみよう。
 1月・・・煮ふくめた高野豆腐を松の型で抜いて。
斜めに切ってうす甘く煮たごぼうに青海苔をまぶして。
小さい梅の花にくりぬいた長芋を添えて・・・正月の松飾りなり。
 2月・・・かまぼこで、梅の花をたくさん作る。
      はるさめの透き通った感じで・・・どこやらに氷の解ける音が・・・
 3月・・・桜の花に切り抜いたハムとにんじん。春爛漫。
 4月・・・千切りした大根、キャベツの上に、マグロ、さけ、いか、タイの刺身を盛り上げ、大きなボタンの花。
 5月・・・長くきったきゅうりで葉、レッドキャベツで花、鮮やかなあやめの花がずらり。
 6月・・・甘くやわらかい小豆と白玉。そこに三つ葉、藤の花が一面に下がっている。
 7月・・・かいわれ大根といくら。萩の花が咲き乱れる。
 8月・・・そばをゆでて、ススキ。とろろ昆布の穂が揺れる。ゆで卵の満月が出る。
 9月・・・ラディッシュやトマトやバナナの小さな輪切りの小菊、スクランブルドエッグでつくる大輪の菊が咲く。
 10月・・・いっぱいにひろがったもみじは、生ハム。もみじがイメージできるように薄切りにんじんをもみじ型に抜いて散らす。おろし大根の煙が漂う。
 11月・・・皿いっぱいに土の色のハンバーグステーキ。
 12月、見るなの座敷は、三つ葉のグリーンと、ゆで卵の黄色い小判であった。
みんなの歓声を受けて出てきた料理。さあて!何月が前菜?デザートは後に回して、何から食べる?こんな激励もあっていいだろう。人間の五感で感じたことは、あらゆるときに思い出され、いざというときには、思わぬ力を出す源になる。

 ラボっ子たちのあるグループは、飛び出す絵本を作って、表現を盛り上げた。または、2グループに分かれて、男が戸を開けると、次々にその部屋の風景が表現された。そこには音も色もイメージすることを忘れなかった。これは昔話を、ラボ独特の解釈で表現した一つの芸術だ。
 
 ―――男が、うぐいすのきずのてあてをしたから、女に化けたうぐいすは、やさしいひとだとおもって、おんがえしにでてきたのだと思う。でもすごくかなしかった。おとこが、約束さえまもれば、ずっと一緒に暮らせただろうに、うぐいすは、自分の本当の姿を見られてしまって、もう、いっしょに暮らせない運命。男も、すべてを失ってしまった。―――A子(小6)

 ―――ぼくは、この物語は、特に人間の心を表している物語だと思っている。それは、人間の「よく」ということについてだ。人間は、これでいいということがなくて、もうかればもっともうけたいと思い、とくしたら、もっととくしたいと思うようになる。この話は、もうかる話ではないけれど、11まで見たら、つぎの「見るな」のざしきも見たくなって見てしまった。人間の欲と、弱さだと思った。―――Y君(小6) 
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おばあさんが話した日本の昔話 09月23日 (木)
SK12として出されていたこのテープは、CDになってからは出ていないから、取り上げても仕方がないかもしれないが、ラボっ子の感想文が出てきて、私のやってきたことも思い出し、やはりこれからの子供にも、昔話を聞かせたいなあ、という思いを強くした。

 ―――ラボ・テープではめずらしい、日本語だけの語りというのが大きな特徴ですが、小さい頃は、おばあさんの独特な語り方や、その間に入る「あいずち」を、外国語というか、何か違った言葉のような、一つの音楽のように聴いていた気がします。
 今、聞いても、おばあさんの声のおかげで、昔話にすっと引き込まれていってしまいます。このテープを聴いていると、なぜか時間がゆっくりと流れていくような気がして、とても不思議な、しかも、とってもあったかい気持ちになります。
 私は「しおひきうす」という話が気に入ってますが、海の水の塩辛いわけが、本当にこんなふうなら、とても素敵だな、と思います。昔の人の想像力って本当にすばらしいものだったんだと、妙に感心してしまいます。―――Y子(’91年・大2)

 ―――僕は、小さい頃、このテープをすっごく母にねだって買ってもらった思い出があります。なぜ、そんなにねだったのか、はっきり分からないくらいですが、一回パーティで聞いたとき、なにか日本語ではないようで、しかし一生懸命聞くとすごく面白い、という感じでした。いまの子は、昔話を知らない、とよく大人の人は言います。確かにそうです。それは、聞く機会がないからです。こういういいテープや、本に触れて、昔話の世界をもっと楽しむといいと思います。「あったてんがのぉ」とはじまって、ほかでは聞くことの出来ない雰囲気を持っています。
 中には、よく知られた「ききみみずきん」などもありますが、僕は、「さるのいきぎも」というのが面白いと思うし、好きです。―――T君(’91年・専4)

 彼らは今は、それぞれ結婚もし、女医、電気工学技師として活躍しているが、大勢の子がそうであるように、ラボでやってきたこと、身にしみこんだ物語と精神が、脈々と流れて、いいセンスで、いい生活を作っていると思う。
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昔話・ききみみずきん 09月21日 (火)
今年の夏の国際交流・海外ホームステイも終わって、各地で報告会が開かれている。ラボっ子の熱い夏が、ピンピン響いて聞こえてくるような気がする。今年の共通テーマは、「ききみみずきん」だったと聞いている。テーマ活動はどうだったろうか。

 日本の昔話も話し継がれてきたいいものがあると思うのだけれど、小さい子がふれられるものとか、本として買おうと思ったとき、すぐ推薦できるものはどれだろう。そんなふうに考えると、私は身びいきと、すぐ身近にあるということで、ラボの中の話はいいなあ、と思う。人に推薦したくなる。というのも、ききみみずきんとか、みるなのはなざしきなどは、結構あちこちに取り上げられている。どれを読んでも余り感心しない。木下順二さんや、おざわとしおさんのような大御所のものも、それぞれの考えで、編纂されたのだから、その目的意識などは十分に分かっても、読んで面白いとはいえない。話の筋が分かるだけではつまらないし、あれこれ再話者が考えすぎても、昔話の骨格が緩んでしまう。話の筋の面白さでとらえるか、語り聞かせの楽しさとしてとらえるかで違ってくると思う。そんな思いで、古いテープ、[おばあさんが話した日本のむかしばなし]を出して聞いてみた。ラボっ子と一度だけ、このテープを使って、「さるのいきぎも」や「塩ひきうす」などの語りをしたことがあったが、今、聞くと、「これは本物だなあ」という感がある。今のほうが、いやに余裕をもって話が心に入ってくる。ついでに、字で読む昔話は、やはり[日本昔話百選](稲田浩二・和子)が好きだ。

 今、生活している家の中は、いろんな音がする。テレビなどがかかっていると、外の自然の音など消されてしまう。庭に鳥が来ていても、気がつかないことも多い。たまに、高原の家で過ごすと、せせらぎの音、鳥のさえずり、木の実の落ちる音など、自然の当たり前の音を、心にしませて味わうことがある。そんなもっともっと素朴な自然を大切に、その自然に抱かれること、自然と共存することが当たり前の頃、人々が感じて生きていたこと、を感じるのが、昔話だと思う。
 ききみみずきんをきいたら、その語り、物語の流れから、このような話が語り継がれてきた風土をかんじとり、出来ればそこにいとおしみの気持ちがもてたらいいなあ、と思う。自分の知っている懐かしい郷土でいいと思う。

 ―――ごんざは、ききみみずきんをもらってよかった。ごんざは、それをつかって、こまっているひとをたすけることになってよかった。ぼくも、とりのことばや、木のことばが分かったらいいなあと思った。おおきいおばあちゃんは、すこし花のことばがわかるとおもっている。「きれいなお花をありがとう」 
といって、花にみずをやっている。―――S子(小1)

 ―――からすは、人間はばかだからわからない、といっている。ぼくは本当かもしれないなと思った。自分のことしか考えていないと、困っているものがいても分からない。へびは、いじめてはいけない、と聞いているけど、へびでも、木でも、みんな大切に思いなさい、ということだと思う。―――Y君(小5)

 
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三本柱・柿山伏 09月17日 (金)
いろいろと問題を抱えながらも、愛知万博の準備が着々と進んでいるようだ。近いところなので勿論関心がある。
これは!と、私がマークしたのは、能・狂言のドリームチームによる公演「咲き誇る伝統」と銘打って、万博の中で代表的な、能・狂言が上演されると、協会が発表したことだ。たった一日なので、何とかして、ぜひ観劇しようと思っている。

 ライブラリーにある狂言、三本柱と柿山伏、すばらしい財産だと思う。私は、パーティ活動中、必要上からどのテープも2,3本買った。すると本も当然何冊もある。三本柱の本は私は宝物だと思い、一冊は、折り目もつけずに、丁寧に保管している。
 
 このライブラリーは、ラボ10周年に出されたもので、私は当時、テューター歴5年。このテープを父母に理解してもらうのは容易ではなかった。とにかく私は全員を家庭訪問して、全家庭に購入をお願いしたのだった。(そんなこともあった)

 そして次にしたことは、ヤングメイト大会というのを計画した。当時私のパーティの環境は、60%くらいが同居で、おじいちゃんおばあちゃんの理解が必要だった。「三本柱などは、家中で聞きましょう」として、発表会には、おじいちゃん、おばあちゃんを招待した。
 三本柱の発表には、新聞紙を折ってかみしもをつくり、全員がその「新聞紙かみしも」を着た。・・・気分は出しても、狂言師のような声が出るわけがない。けれども、言葉の一語一語を丁寧に、言葉の出だしは、はっきりと。語尾までゆっくりと丁寧に。足にも力を入れて床をつかむように、しっかり動く。などとみんなで一生懸命になったことを覚えている。
 そんな発表を見ていただいて、おじいちゃん、おばあちゃんの代表にも、ラボっ子に話をお願いした。明治生まれのおばあちゃんが、桃太郎のお遊戯をしてくださったり、おじいちゃんは、昔の木曽川の話、桑名からみかん舟が着くと、みんな喜んで荷おろしを手伝った話などをしてくださった。そんな努力は、私のパーティの陰の力となっていったのだ。

 ―――狂言といっても、今は、余り見る機会がなくなった。狂言として辞書を引いて調べてみると、「能楽の合間に演じるこっけいな風刺を主とした舞台芸術。室町時代に発達した。」とのっている。
 テープの言葉は、今聞いても、全体の物語の流れは分かるとしても、一つ一つをとってみると分からないところが多い。言葉の発音もかなり狂言独特である。おもしろいことに、日本語より、英語のほうが意味がよくわかるところが少なくない。例えば、「げにもさあり、やようがりもさうよの、やようがりもさうよの」と唱えているが、よく意味がわからない。ところが
 That is really true! Everything is just fine! となれば、[本当にそうだ。いや、みごとじゃなあ]ということになる。物語のストーリーはコメディではあるが、ゆったりとながれ、あとで「ああ、そうか、なるほど」という分かり方をする。僕はそれ以上に言葉を含めて全体に面白く興味が持てる。―――T君(専4)

 ―――私は、かほうもののやくをやりました。おばあちゃんと一緒に練習しました。おばあちゃんは、「むつかしいわねえ。つづみのおとがいいねえ。」といって聞いていました。新聞紙で、かみしもというのを作ってやりました。うたのようなことばで、息がつづかなくなったりしたけど、日本語より、簡単だなあ、と思いました。―――R子(小5)

 ―――このひとたちは、すごくあたまがいいと思った。3本のはしらを、3人して2本ずつもつことを、かんがえついてもってきたから。ぼくは、はじめ、よくわかりませんでした。―――K君(小1)

 ―――ぼくは、はじめへんな言葉だと思いました。日本語なのにぜんぜん意味が分かりません。おばあさんは、「これはいいテープだ」といいます。何で、昔の人は、こんなふうにしゃべったのかと思います。
 山伏は、すごい力を持っていて、飛んでいる鳥を祈り殺すくらい。どうしてそんなことが出来るのか不思議に思います。でもそんな人でも、柿をぬすんでたべたくなるのです。そうして見つかってからは、犬になったり、さるになったり、けっさくです。さいごに、鳥になって飛んだら飛べなくて、普通の人でした。―――T君(小5)

 ―――柿山伏の本物の狂言を見た。声の出し方が独特で、すごい迫力だった。なれたら、意味もよくわかってきた。
 自分は山伏で、難行苦行をしてきたから、そこらの人間とは違う。といいながら、柿をとってたべようとする。そこを見つけられて、面白いことになる。百姓に見やぶられて、からかわれ、まんまとそれに乗せられていくのが面白い。
 狂言は動きが少なく、ゆっくりとしているようで、力強く、表現に迫力がある。心の動きもよくわかる。テーマ活動も、こういうふうに出来るといいなあと思った。―――H君(高2)
 

 
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ブレーメンの音楽隊 2 09月14日 (火)
 I’m no good, or so they say, I won’t stay, I’ll run away,・・・・・この歌は、覚えやすいのか、小さい子までみんなうたう。歌えるものだから、元気に歌う。私はいつも、本当はそんな気持ちじゃないのだけれど・・・と思っていた。この動物たちは役立たずになって、殺されそうになり、飼い主から逃げてきた哀れな身の上なのだ。大人たちの今のリストラの社会と重なるかもしれない。いや、本当に世の中は、役に立つ間は、ちやほやされても、役に立たなくなると、手のひらを返したように冷たくなる。そんなことを、強調してもいいかもしれないが、こどもはそんなことはわからない。それでいいのだと思う。
 または、彼らは分かっているのかも知れない。彼らは「そんならいいよ。こんなところにいてやるかい!」と、蹴飛ばして出てきた元気があるのだろう。
 とにかく、音楽の調子にのって、BRAVO!と、いつもとっても明るいテーマ活動になった。

 これは、グリムの昔話の中でもよく知られたほうだから、絵本も多い。でも私はパーティで読んであげたいのはなかった。いろいろ面白いのもあるけれど、やはり、福音館書店のハンス・フィッシャーの絵本かなあ、と。これは楽しい。でも、子供のクリスマスプレゼントに描かれたものというから、お話の本筋からは、外れていると思う。・・・と考えていくと、ラボの絵本は、地味ではあるけれど、井上洋介さんの絵がいいと思う。4匹の動物たちも、老いぼれている。でもにわとりなんかの、いかにも意地のある元気さを出しているのが面白い。

 ―――ろばも、いぬも、ねこも、それからにわとりもおいだされて、かわいそうだったけど、さいごには、すてきなおうちにすめて、よかったね。ブレーメンへいって、おんがくたいになるの、わすれちゃったみたい。でもおんがくが、とてもじょうずだね。にわとりは、どんなたかいこえでもだせるみたい。みんなで力をあわせれば、なんでもできるね。しあわせになってよかったね。―――T子(小1)

 ―――人間は勝手ですね。使うだけつかって、あとは大事にしないんですから。そんならもうそれまで、と、自分で自立しようとします。4人は、それぞれ特技を持っているので、その才能を生かして生活していくのでしょう。4人は協力して、知恵を使って、どろぼうを追っ払い、みんな幸せに暮らします。はじめはみんな暗い気持ちですが、最後は幸せで明るくなります。―――M子(小6)
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ポワンホワンけのくもたち 09月11日 ()
 秋。空を眺めることの多い季節だ。「くも」といって、私の好きな本のひとつは、ピーター・スピアの絵本、「なつのそら」。それから本当にいい本は、イーハトヴ詩画集「雲の信号」(宮沢賢治・詩=黒井健・画)で、私は、ときどき眺めている。さて、ラボのくもの本といえば・・・
 詩的です。ことばの美しさ、間宮芳生さんの音楽、岸田今日子さんの語り、私は何時聞いても気持ちよく聞ける。
 ただ、絵本は、4冊のセットの関係もあって、同じように印刷されているから、よく考えられた絵が、その雰囲気を出していない。こどもが、くもに目や口を書くと、漫画チックになってしまう。

飛行機に乗って、雲の上を飛ぶと、話は別で、雲も別の分析をしたくなるが、地上から眺める雲、空の表情、空模様は、詩的、ロマンチック。またあるときは、絵画的ともいえるだろう。
私は、建物の絵をよく描くが、建物には曇り空が似合うことが多い。建物がきれいに見えるような気がする。また夕焼け空もよく使う。空に表情がつけやすい。物語性も加えられる。快晴の空は、人の気持ちをうきうきとはさせる。家の中に居るのはつまらないと、外に出たくなる。でもそれ以上に何かを考えさせたり想像させたりはしない。青空に浮かぶ雲は、千変万化、空の表情を変えさせ、楽しませてくれる。

 このテープは、日本語もきれい、英語もきれい、スペイン語も心地よい、という印象がある。そして何回テーマ活動をしても、終わりの場面になると、涙が出てくるのはなぜだろう。

 ―――わたしは、ぽわんほわんけのくもがすきです。お父さんや、お母さんとはなれてしまって、なきだしそうだったけど、いっしょうけんめいさがしてあえたから、うれしかったです。くもは、もしどこかへいきたいとおもっても、かぜにたのむことになるから、たいへんだなと、おもいました。くもがわたがしみたいにみえたりします。―――N子(小1)

 ―――雲を家族に見立てて、空を見ています。すると、ちぎれたり、くっついたり。なんだか、風とも親戚、空全体が家族のようにおもえてきます。 どんどん行けば、世界全体を見渡すことが出来手ていいなあ、と思えてきます。でも、このポワン・ホワンけのくもたちの旅は、何時も同じではないぞ、大変なときもあるぞ、と教えているようです。そうしてみんなで力を合わせて、励ましあって、子供の雲たちは、いろんな経験をしていきます。だから、最後にやっと会えたとき、うれしさがこみ上げてくるのです。僕は小学生の頃、この雲を表現するのが難しく、自分なりにふわふわやっていたように思います。そして火山の煙を一生懸命手を高く伸ばして表現していたことを覚えています。―――K君(大1)
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ヒマラヤのふえ 2 09月09日 (木)
ガラスに描く絵の具をプレゼントされて、何かいいものを作ろうと思いつつ、グラスや、変わった形のビンなどを集めていた。さて、描く準備が出来た。グラスを手にとって、すぐに頭に浮かんだのは、「ヒマラヤのふえ」の絵だった。あの色彩と様式美を少しヒントにいただいて、ステンドグラス風に仕上げていった。
まず、金の絵の具で、緑の葉の葉脈をグネグネ、くるくると描き、花を花びらひとつずつ丁寧に重ね、輪郭を取った。その中に、丁寧に緑、赤の色を入れていった。友達がグラスに似合ったいい絵だといってくれた。ラボ・テューターが見たら、すぐ[ああ、あの絵だ]と分かるのだけれど。

 私はラマチャンドラのこの「ヒマラヤのふえ」の絵本は、大好きな本のひとつで、深いものを感じる。自然の恵みを大切に生きてきた人々の間に伝わる物語詩、そのものの絵と思える。
 ラモルたちに笛を与えた旅の老人は、人間の姿になった神様といっていいだろうが、いかにも、どこともいえぬ遠いところから来たと感じられる。でもこの表現は、私は幼児の絵の中に見ることがあって、この絵本を見てから、改めて幼児の表現の自然さというか、神秘さすら感じた。
 顔の書き方は、ヒンズー美術の中にあるようで、平面的で、表情がないようであるが、人、星、魚とそれぞれにその場面とマッチした表現になっている。そして太陽は、いかにも強く、しっかりとした人格すら感じる。
 ラモルの笛の音が、ナーガリー文字とか言うのであらわされているが、とにかく、文字も図案のように美しく、いいメロディーが聞こえてくるように思える。そのメロディー(文字)が三ツ星を包み、曼荼羅の世界をも包み、ついにラモルは、マルハナバチに変えられて、空へ行く。でも、一文字のメロディーが続く。そしてブリンジャマティの努力と、神様の力で、最後、ラモルは、一文字のメロディー(まるはなばち)から抜け出て、ブリンジャマティのところに帰る。

 ―――あの、まほうのふえで、いしじゃりのところが、花ぞのにかわってしまうなんて、ほんとうにふしぎです。どんなふしぎな音が出たのかと思います。きっとラモルが、じょうずにふいたのです。どんなおんがくかしりたいです。もし、おんぷがわかったら、ぼくもひけるけど、このじは、わかりません。―――K君(小1)

 高原や山にいて、小鳥のさえずりなどを、本当にいいなあ、思うことがある。そのかわいい声を、言い表そうと思っても、音にならない。観念的に小鳥の声は、チッチ、チュンチュン、ホーホケキョとしかいえないとは、なさけないと思うのだけれど、いつもじっと聞き入るだけだ。それを表せるいい文字、音符があったらいいのだけれど。

 
 
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三びきのやぎのがらがらどん 09月07日 (火)
今、ラボ・ルームは、私のアトリエだ。毎週火曜日の夜は、絵を描く仲間と、先生が集って、絵の教室になる。そのときは、床いっぱいに古いシーツを敷き詰める。私はシーツに限らず、古いもの、いらなくなったものをいろいろに利用する。

 「三びきのやぎのがらがらどん]で遊んだあとが残っている。新聞紙を広げ、上にシーツを広げ、水彩絵の具を青、緑、黄、茶などをお皿にたくさん溶く。みんなでシーツに、がらがらどんの背景、山、谷川、橋などを描いた。別の布に、三匹のやぎ、トロルを描く。
 大変な作業が済んで、仕上げはテューター。私は絵の描かれたシーツをうっすらと綿を入れて、簡単にキルティングをして、タペストリー風にした。そしてあちこちにマジックテープをつけた。やぎなどは、大ざっぱに切り抜いて、同じくわたをうすく入れ、マジックテープをつける。トロルはさらに手を込ませ、目玉、鼻、手足がばらばらになるようにつくった。幼稚園でもパーティでも、大人気で、よく遊んだくたくたになった布絵が残っている。

 北欧、特にノルウエイの風景には、がらがらどんたちが現れそうなところがある。フィヨルドの谷川、そして少し上ると緑のやわらかい草地がある。
 一番小さいやぎは、かわいい。トロルに、ひとのみにされそうになって、怖かったけれど、上手に橋を渡ることに成功する。だから、小さい子はみんなこのやぎに、自分を重ね合わせて、ちびやぎになりたがる。一番大きいヤギは、憧れだ。ラボは幸い異年齢集団。少し大きい子が強いやぎを堂々とやると、俄然、三番目やぎに人気が集る。

 ―――がらがらどんはつよいね。三ばんめやぎには、つのがあるけど、したの二匹はないよ。でも大きくなるとはえてくるね。大きいヤギのがらがらドンが、トロルとたたかって、トロルはしにました。あのはしも、もうじゆうにつかえるから、もういってもあんしんだよ。―――S子(小1)

 ―――三番目やぎのがらがらどんが、いちばんつよいんだよ。からだがでっかくて、こえもでかい。つのがつよそうで、ひずめが石みたいにかたいんだ。ぼくは、三ばんめやぎのがらがらどんになりたい。だって、つよいんだもの。おにいちゃんにかてる。一ばんめは子どもで、二ばんめは、お母さん、三ばんめは、お父さんだと思う。みんなたくさんくさをたべて、よかったね。ふとりすぎて、はしが、ぶっこわれないかなあ。―――S君(小1)
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オデュッセウス 09月01日 (水)
プロメテウス、ペルセウス、そして、オデュッセウスだ。膨大なギリシャ神話、そしてホメロスのオデュッセイアを、ほんの15分の物語にまとめてしまうのだから大変だ。しかも、紀元前16世紀頃といわれるペルセウスから、紀元前12世紀頃のトロイア戦争となるから、この間、数百年以上の隔たりがある。しかもシュリーマンが関わってくると、これはまた、150年ほど前のことというから、紀元前からいうと、ついこの間ということになる。ほんとにすごいことだ。

 ペルセウスは、ギリシャ人の冒険の夢と憧れを表すように、未知の世界を広く飛び歩いたが、まだ、実際に船などの手段があったわけではないから、翼のサンダルなど、空想の世界である。オデュッセウスは、実際に、船団を組んで遠征している。トロイア戦争の英雄が、その後10年漂流した物語のほんの一部であるから、ラボっ子たちの興味に合わせて、読み足してもらわねばならない。
 パーティでは、「ホメーロスのオデュッセイア物語」(バーバラ・レオニ・ピカード=高杉一郎訳・岩波書店)を紹介して、出来るだけ読んだ。子供には読みやすく、非常に楽しめる本だった。

ラボっ子が、今、いくつであろうと、このような形でギリシア神話に出会ったということは、たとえ今十分に理解できなくても、次に大きくなってから出会ったときの理解が、違うのだと思う。

 ラボ・ルームには、[探検と発掘シリーズ](評論社)があり、男の子たちの人気の本だった。それだけでは十分理解できないと思うが、トロイア、クレタなど、つながりを持ってきた。トロイアの絵本は、巨大木馬で終わっている。オデュッセウスが最後の英雄といっても、どのように英雄だったのか、知りたくなるのが当然で、みんなが本を借りていくのがうれしかった。

 ―――オデュッセウスと聞いても、何のことか分かりませんでした。でも、トロイア戦争の英雄の一人だと聞いて、わかりました。島に流れ着いたとき、食料もつきて、どうなるんだろう。たぶん運よく何か食べ物にありつけるんじゃないかと、想像しました。食料はあったものの、その後は、とても残酷のように思いました。
 毎日、部下が一人ひとり自分の目の前で食べられていくのを見て、オデュッセウスはとてもつらかったと思います。でも、食べられっぱなしではなく、対策を考えたオデュッセウスは、さすがトロイア戦争の名将軍だと思いました。このオデュッセウスはどんなときにも、何事にも、立ち向かっていく勇気と落ち着いた行動力の大切さを教えていると思います。―――K君(中1)

 このあと、「こどもと本」では、ギリシャの神々の物語につづいて、「トロイア物語」(ロジャー・ランスリン・グリーン=山本まつよ訳)が連載された。これも非常に面白かったが、その頃パーティは、次のテーマに忙しい状態だった。
 こうして、ギリシア神話の人々、神々、の人間関係を楽しんで読んでいると、人間の心は、古代から余り変わっていないのだな、と思う。彼らの、喜び、怒り、悲しみは、今のわれわれと変わっていない。
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