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今日の一冊 加藤周一『20世紀の自画像』
筑摩新書553
2005年9月刊行
加藤 周一
1919年東京生まれ
1943年東京大学医学部(血液学専攻)卒業
医学博士、評論家・作家
カナダ、ドイツ、スイス、アメリカ、イギリス、
イタリア、メキシコ、中国などの諸大学や、
上智大学、立命館大学で講座を持った
著書『日本文学史序説(上・下)』(ちくま学芸文庫、大仏次郎賞)
『夕陽妄語』(朝日新聞社)
『羊の歌(正・続)』(岩波新書)
p10「20世紀後半の日本で起こった衣食住の変化は、
明治維新後前世紀の末に起こった変化よりも、はるかに大きい」
p34「小さく美しいものを愛して、戦争賛成というのは筋が通らない。
そういう人たちに対して私の中に怒りがあった。」
p67「言葉は戦車に対して無力。しかし戦車は言葉に対して無力なので
自分自身を正当化することは出来ない」
p100「一年に一回も、憲法のことを書かないのはちょっと無責任だと思う」
p107「私は真珠湾を日本軍が攻撃したとき、
東京が焼き払われることは、直ちに見抜いた。」
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旅芸人の記録 (1974年 ギリシャ)を見た
多分30年ぶりに
監督: テオ・アンゲロプロス
最新作『エレニの旅』ホームページ
http://www.bowjapan.com/eleni/index.php
テオ・アンゲロプロス の紹介ページ
http://www.bowjapan.com/eleni/angelopoulos/profile/
テオ・アンゲロブロス『エレニの旅』を見てギリシャ現代史を思う
06月15日の日記
https://www.labo-party.jp/hiroba/top.php?PAGE=kaze2003&MENU=DIARYDETAIL&DIARY_ID=21547
1939年から1952年のギリシャ
旅回りの一座が「目撃」する激動の政治
メタクサス将軍の独裁、ナチスの侵攻、イギリス軍の進駐、
ギリシャ共産党と右派との内戦、
パパゴス元帥の右翼独裁政権の登場
そして旅芸人に一座に起こる神話の物語
登場人物にアトレウス家の古代ギリシャ神話を重ね合わせている
父アガメムノン、母クリュタイムネストラ、
長女エレクトラ、息子オレステス、そして母の愛人アイギストス
裏切りによる父の死
エレクトラとオレステスによる復讐
オレステスの死
この映画の中のギリシャはいつも曇り空
青空は一度もなかった
雨が降り、雪が降り、冷たい風が吹いている
家に帰ってギリシャの歴史をあらためて確かめた
ギリシャの近代史もまた内戦の続く血の歴史である
テオ・アンゲロプロス がこの映画を撮った1974年
ギリシャは厳しい軍事政権下にあり、公開できる見通しは全くなかったという
「私が描きたかったのは“レジスタンスの世代”です。
つまり、メタクサスの独裁に反対し、第二次世界大戦を闘い、
民族解放戦線(EAM)に入って、山に籠って抵抗した人々です。
出来事の圧力によって立場をはっきりとさせざるを得なくなり、
その為、勿論左翼の立場から“レジスタンスの世代”とみなされたあらゆる人々です」
「すべてはごく普通の民衆の視点から示されます。
その同じ民衆が、出来事の諸々の帰結を背負わなければならないのです。
この作品は、近年のギリシャ史の一分析である以上に、民衆的な叙事詩なのです」(アンゲロプロスのことば)
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笞(むち)の痕(あと)
2004年 カラー 91分 日本未公開
監督:マグダレーナ・ピェコシュ(1974- )
母の死後、厳格な父に育てられた少年ヴォイチェフ
父は敬虔なカソリック、教会の彫刻の職人
良いことをしたとき賞を与えるのと同じように悪いことをしたときには
罰を与えなければならないと固く信じていた
少年は体罰が怖い
父からの逃走
家出をして以来、父に会っていない
30歳になっても周囲と決して妥協せず、洞窟探検の仕事をしている
人との関わりを恐れ、家族を持とうとしない
ターニャとの出会い
父の死の知らせ
残されたカセットテープに吹き込まれた父の声
女性監督ピェコシュのデビュー作
04年グディニャ・ポーランド劇映画祭のグランプリ受賞
主演は、『パン・タデウシュ物語』のジェブロフスキと『ワルシャワ』のグロホフスカ
フィルムセンターのポーランド映画特集は今日が最終日
12本の映画がリストアップされ、その内9本を見ることが出来た
ポーランドへの関心は高校時代に見たポーランド映画から始まっている
●イェジー・カヴァレロヴィッチ(1922- )
『影』(56)『戦争の真の終り』(57)『夜行列車』(59)『尼僧ヨアンナ』(61)
●アンジェイ・ワイダ(1926- )
「地下水道」(56)灰とダイヤモンド) (58)
1772~1795年
ロシア、プロシア、オーストリアによる三度の領土割譲で国家消滅
長く続くロシアへの愛国者たちのポーランド独立のための戦い
1918年共和国として独立
1939年ソビエトロシアとナチスドイツによるポーランド分割
1941年ドイツ軍が全土を占領
ワルソーゲットーでのユダヤ人の蜂起
ナチスドイツへのワルシャワ蜂起
冷戦時代、社会主義政権下での「連帯」の戦い
軍部による戒厳令・・・
苦しみの続く歴史の中で誇り高く生きるポーランドの人々への共感がある
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『仕返し』
2002年 カラー 100分 日本未公開
監督:アンジェイ・ワイダ
『パン・タデウシュ』と同時期に書かれた古典喜劇の映画化
アンジェイ・ワイダの最新作
ポーランドの古典文化の堂々たる映画化なのだが
名優たちの演技以外には面白さを見つけられず
『ワルシャワ』
2003年 カラー 105分 日本未公開
監督:ダリウシュ・ガイェフスキ(1964- )
恋人と暮らそうとワルシャワに来たたクララ
孤児院を出て職探しのパヴェウ
フラメンコ・ダンサー志望のヴィクトリア
自称実業家アンジェイ
行方不明の娘を探す父
記憶を失ってさ迷う元蜂起兵
彼らが冬のワルシャワですごす早朝から深夜までの18時間を同時進行で描く
歴史的都市であるワルシャワの現在がよくわかる
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アジアのキュビスム ― 境界なき対話
東京国立近代美術館
2005年8月9日(火)-10月2日(日)
http://www.momat.go.jp/Honkan/Cubism/
東京国立近代美術館、国際交流基金、韓国国立現代美術館、
シンガポール美術館の四者による、国際的な共同企画として実施
中国、インド、インドネシア、日本、韓国、シンガポール、
マレーシア、スリランカ、フィリピン、タイ、ベトナム
からの出品作品、約120点
「国別」の展示ではなく、「テーマ別」の展示により、アジアの近代美術を綜合的に再考
ちょっと変わった展覧会へ行って来ました
キュビスムがアジアでどのように受け止められ、それぞれの文化の中で
どのように広がったかをたどることが出来ました
見に来られる方が少なく、静かにゆっくり楽しめました
竹橋から足を伸ばして東京国立近代美術館京橋のフィルムセンターへ
ポーランド特集「ポーランド映画、昨日と今日」
http://www.momat.go.jp/FC/Polish_Film/
今日は1999年制作の『借金』
実在の殺人事件をもとに、監督とルポライターが共同で脚本を書いた作品
体制転換期にあるポーランドに急激に浸透する資本主義経済と犯罪を描いている
今日は祭日のためかポーランドの方もたくさん見えていた
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建築家清家清展
新橋 松下電工汐留ミュージアム
2005/7/23/~9/23
開館時間 : 午前10時~午後6時
入場料(税込) : 一般500円、大高生300円、中小生200円
[主催]松下電工汐留ミュージアム、建築家清家清展実行委員会
[協力]日本建築学会建築博物館、デザインシステム
http://www.mew.co.jp/corp/museum/kaisai.html
去る4月8日に86歳で亡くられた、日本の代表的建築家・清家清
(1918-2005)
特に代表作≪私の家≫(1954)の原寸大模型からは、
清家清が提案した「広く住まい、時に応じてしつらえる」暮らしを
つぶさに体感することができる
とてもシンプルな家
長方形の短い辺からT字型の区切りがでている
左手前が台所、その奥がトイレ、シャワー
右手前が書斎、その奥は寝室
それぞれに扉はない
真ん中が居間、そのまま庭へ出られる
Living garden リビングと庭が一体化している
玄関はない
ー西欧の窓は、壁に穿った穴であるが
日本の間戸は柱と柱の間の戸である
として間戸が大きく外へ開かれている
天井から床までの間戸は
開放感がある空間をつくりだしていて気持ちがいい
新橋から京橋へ
フィルムセンターポーランド映画特集
ポーランド映画『エディ』を見る
2002年制作
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映画評論家 佐藤忠男
日本経済新聞社1980年 1200円
古書店で400円で買ってきました
読みやすい一冊です
佐藤忠男
1930年新潟市生まれ
少年飛行兵として終戦を迎える
戦後国鉄、電電公社に勤めながら映画雑誌に投稿を続け
認められて
1957年上京「映画評論」編集部に入る(1961年まで編集部に)
1962年以降フリーの著述業・・・
はじめて見た映画?
「キングコング」「オーケストラの少女」
戦争中の戦意昂揚映画
小学校6年生「ハワイ・マレー沖海戦」1942年暮れ
2年半後少年飛行兵入隊
戦後はじめてのアメリカ映画
ハリウッドが私を占領した
1946年「春の序曲」を見てこれが文化というものだと背筋に感動が走った
「キューリー夫人」「心の旅路」
「我らが生涯最良の年」
「オペラハット」と続く・・・
地方都市に住み
軍国少年として育ち、日本が敗北はしても
それまでは日本の立場の正しさを信じていた少年が
アメリカ映画によって描かれた
アメリカの文化に文化的な敗北を感じ、脱帽する様子が
映画を見た自分自身の実体験として丁寧に書かれている
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「アジア」の渚で―日韓詩人の対話
吉増 剛造 (著), 高 銀 (著) 藤原書店2005/05
価格: ¥2,310 (税込) 243p
高 銀 (コ・ウン)韓国の詩人
1933年韓国全羅北道生。詩人。
吉増 剛造
1939年東京生。詩人。
二人の詩人の対話 2001年4月、それに続く手紙、
対話 2004年12月 で構成された本です
高 銀
p46
日本も韓国も中国も陸地中心で自分の城の中で
篭城体制で生きてきたがために
古代に共同体をなしていた海の現場を記憶からなくしてしまった
これから東北アジアの人々は
自分の生活の中心を海の広場に置くべきだ
西欧の中世社会から学べるところが一つだけあります
そこには必ず広場があり、その広場にみな集まります
けれども我々はそういう皆が集まってこられる普遍的な空間や広場など
をすべて破棄してしまいました
われわれのの過去にあった美しい海の共同体を取り戻すことが
東北アジアの生存方式の基本だと思います
これは現実的にはグローバル化、市場経済の独占を調節してくれる役割を果たしてくれるでしょう
海の広場を取り戻すという美しいイメージが胸を打ちます・・・・
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アップルコンピュータ創立者、CEOのスティーブ・ジョブス氏の
スタンフォード大学卒業祝賀スピーチ
を読みました
自分自身の生と死、成功と挫折、
「未来に先回りして点と点を繋げて見ることはできない、
君たちにできるのは過去を振り返って繋げることだけなんだ」
率直な語り口が素晴らしいです
「ジョブスの卒業祝賀スピーチ」掲載ホームページ
(2005年6月12日、スタンフォード大学)
http://blog.livedoor.jp/tomsatotechnology/
原文掲載のホームページ
http://slashdot.org/comments.pl?sid=152625&cid=12810404
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川上弘美『ゆっくりさよならをとなえる』
2001年11月新潮社刊
私は新潮文庫版400円で読みました
小説家川上弘美は1958年東京生まれ
1996年『蛇を踏む』で芥川賞
2001年『センセイの鞄』で谷崎潤一郎賞受賞
この本は1999年から2001年にかけて
新聞のコラムや雑誌に発表された雑文をまとめたもの
作者はとてもまじめなのですが
まごまごしたところがあり
ふわふわと
読んでいるこちらの肩の力が抜けてしまう本です
本好きなので
いろいろ知らなかった本についても書かれていて
それらの本を捜して読む楽しみが増えました
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